研究課題/領域番号 |
20K20174
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
寺澤 武 旭川医科大学, 医学部, 講師 (20815401)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生体内組織形成術 / 心臓弁グラフト / 再生医療 / 流体-構造連成解析 |
研究実績の概要 |
当該年度において、以下の成果を得た。 1) 流体構造計算を実現するための生体内形成組織の材料特性モデル化:引張試験により生体皮下形成組織体の応力-ひずみ特性を調べ構造計算用の機械的特性値とした。 2) 弁形状のコンピュータ上での構築および組織形成用鋳型の開発:弁形状は心臓弁形状を代表する設計パラメータを次の弁輪径・弁長・交連部高・弁葉角・弁厚の5パラメータとした3次元形状とした。自己組織弁の生体皮下形成用の鋳型を、形成時の弁の状態が開放状態(Open弁)・および閉鎖状態(Closed弁)の二仕様について、設計および三次元CADにおけるモデリング・3Dプリンタによる造形を行った。Open弁の鋳型をヤギの皮下に埋込および3か月で摘出を行い自己組織弁形成を認めた。Open弁の模擬循環回路によるin vitroにおける血行動態評価を実施、既存生体弁に対して逆流率は劣るが、圧較差特性に優れることを示した。またヤギの肺動脈弁位への移植急性実験を行い、心エコー評価およびアンギオ評価により弁として機能することを明らかにした。逆流率改善を目的としたClosed弁の設計改良を進めた。鋳型の交連部および組織形成促進のために鋳型に設けられる細胞誘導孔の位置を改修し、組織形成実験につなげた。大動物による組織形成実験では、Closed弁の弁膜部は設計よりも薄いものの組織形成可能であることを示した。 3)・4) 移植強度と弁機能を兼ね備える移植体弁尖形状の最適化:Closed弁での弁形状最適化を図るため、鋳型に対応して形成された組織体の3次元モデルを作製した。また弁の評価指標である、圧較差・逆流率を計算できるよう準備を進め、心臓弁様組織体の評価基盤を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画から一部検討項目を変更するに至ったが、目標とする水準は達成できたと考えるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、弁の閉鎖姿勢状態での形状最適化を考慮するが、まずは生体内組織形成術で閉鎖姿勢かつ弁形状を自在に調整できる鋳型を構築しグラフト形成に至った後、閉鎖姿勢における弁の膜厚、形状、姿勢角などの最適化を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19による影響により予算使用が円滑に進捗できず、次年度使用額が生じた。次年度、本年度計画した学会発表および共同研究先への出張費として使用予定である。
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