本研究では,より実用的な実験系として後方散乱光に対する位相共役光の生成を実現し,その散乱抑制効果を検討することを目的とする.これにより,位相共役光を利用した新たな生体イメージング手法の実現が期待される.該当年度の研究実績は以下の通りである. 1.ディジタル位相共役光生成のための光学系の構築:昨年度構築した実験システムについて動作確認と再調整および精度向上を試みた.位相共役光生成実験を繰り返し,光学系の最適化を進めた. 2.ディジタル位相共役光生成システムの最適化と改善:昨年度に引き続き,ディジタル位相共役光生成のための位相情報取得と位相変調を行うプログラムを最適化することで処理時間の短縮と効率化を試みた.さらに,位相共役光による時間反転性の向上とノイズ除去のために,ホログラムのコントラストを反映させることで,位相共役光による散乱抑制効果の更なる向上を目指した.その検証を今後行う予定である. 3.反射型の位相共役光生成システムの構築:従来の透過型のシステムの構築と平行して,より実用的な反射型の実験システムを構築するために,実験システムの検討を進めた.反射型の実験システムを構築するためには,散乱体への入射角が重要な要素となる.これは,散乱体の特性の影響を受けるため,様々な検討が必要となる.さらに,最適な入射角を検討するために,シミュレーションによる最適条件の検討を今後進める予定である. 上記成果をレーザー研究会で学会発表を行った.
|