研究課題/領域番号 |
20K20184
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
武長 徹也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (10860299)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 肩関節前方脱臼 / 肩関節包修復術 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、反復性肩関節脱臼の術後成績向上のために、未固定凍結肢体肩を用いて、関節包の縫縮の方向や量に関して反復性肩関節脱臼における外科的治療法を確立することである。 未固定凍結肢体肩に対し、関節力学試験ロボットシステムを用いて、肩関節脱臼前の肩関節安定性と可動域の評価を行う。その後、肩甲上腕関節60°外転、60°外旋位の肢位において、関節力学試験ロボットシステムで可能な最大速度で骨頭中心が肩甲骨関節窩前縁を超える脱臼肢位(肩甲骨関節窩の最大前後径+10mm)まで、上腕骨に前方力を負荷することで、肩関節脱臼モデルを作成する。同様の動作を5回繰り返す。引き続き、反復性肩関節脱臼モデル作製後の肩関節安定性と可動域の評価を行う。肩関節包表面に、5㎜間隔の格子状に配置したマーカーを用いて脱臼前後での関節包伸長の程度、方向を評価。その後、縫合糸を用いて伸長した関節包を短縮するよう縫合する。その後、関節包修復後の肩関節安定性と可動域の評価を行う。様々な程度及び方向での関節包修復術を行い、その前後のキネマティクスを比較することで、最適な関節包修復術を確立していく。 未固定凍結肢体肩10肩の予備実験を2021年度に終え、2022年度に本実験を未固定凍結肢体肩6肩を用いて行った。プロトコルは前年度作成したものを使用し、10%以上の関節包伸長を認めた部位には10㎜の、関節包伸長方向に合わせた縫縮を行うことで関節包修復後のキネマティクスが肩関節脱臼前とほぼ同等となるという実験結果が得られている。また、関節包損傷は腋窩関節包の後方を中心に引き起こされることが判明している。我々の個々の損傷状態に対応した関節包縫合は有用な方法である可能性が高いことが確認された。今後さらに未固定凍結肢体肩4肩を対象とし、本実験を進めていく方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度に未固定凍結肢体肩10肩を用いて本実験を終了予定であったが、献体の調達に時間を要し、6肩の実験で終了した。次年度はさらに4肩を用いて実験を進めていく方針である。
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今後の研究の推進方策 |
確立された関節包修復術に対するプロトコルに準じて、新たに未固定凍結肢体肩4肩を追加して本実験を進めていく。様々な関節包修復術後のキネマティクスを比較することで、最適な関節包修復術を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初2022年度計画では、本研究を終了させる予定であったが、献体の確保に時間を要し、本研究を終わらせることが出来なかった。次年度に追加で4献体用いて研究を進行させる必要があり、本来当該年度に使用する予定であった額を次年度使用額として使用する予定である。
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