研究課題/領域番号 |
20K20204
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
山田 雄二 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (00838401)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 細胞移植 / ラミニン / ペプチド / ゲル / 三次元培養 |
研究実績の概要 |
2020年度は以下に示すようにラミニン由来の細胞接着ペプチドを固定化したアガロースゲルを用いた三次元培養実験を行った。①酸化試薬であるTEMPOの反応によりアガロースにアルデヒドを導入した。このアルデヒド化多糖にN末端にシステインを導入したペプチドを反応させ、チアゾリジンを介して共有結合させた。ペプチドの導入率をトリプトファンを多く含むペプチド(CGGWRWRW)を用いて吸光度から測定し、十分にペプチドが導入されていることを確認した。②ラミニン由来の細胞接着ペプチドAG73(細胞表面受容体のシンデカンに結合)とA99(細胞表面受容体のインテグリンに結合)を用いてペプチド-アガロースゲルによる二次元培養と三次元培養を行った。細胞として、接着受容体によりその形態が明確に変化するヒト皮膚線維芽細胞を使用した。二次元培養においてはペプチドを結合させたゲル上に細胞を播種し、培養を行った。AG73を結合させたアガロースに接着した細胞は丸い形態を示し、A99を介して接着した細胞は強く伸展した。細胞増殖にも違いが見られ、A99上でのみ細胞は増殖した。三次元培養の方法としては、一度ゲルを注射器の中で調製し、細い注射針を通す際のせん断力で物理的に断片化させ、このゲルに細胞を包埋し、培養を行った。数日間に渡る細胞培養によりその増殖を測定した。その結果、インテグリンに作用するA99を結合したアガロースゲルを用いた三次元培養においても細胞の増殖が確認されたがAG73では増殖は見られなかった。ここまでの内容は2020年にBiomacromolecules誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のコンセプトであるペプチド修飾アガロースを用いた三次元培養はヒト皮膚線維芽細胞を用いた実験で有効な手段であることが確認され、概ね順調に成果があがっている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はがん細胞としてHeLa細胞を用いて三次元培養を行い、マウスを用いた細胞移植実験に向けて準備をしていく。HeLa細胞を培養する場合にヒト皮膚線維芽細胞と同じ細胞接着ペプチドが有効であるかは不明であるため、有効なペプチドの探索と最適化から行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で国際学会参加のための旅費がなくなったため、大きな次年度使用額が生じた。次年度は国内外の学会が開催できる場合は研究成果発表のための旅費として使用する予定である。
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