研究課題
本研究では、免疫拒絶反応を抑制する機能性スキャフォールドを開発し、再生医療における細胞移植効率を向上させることを目的としている。2021年度においては、スキャフォールドの免疫抑制機能の解析と動物実験を進めた。ポリアミンの一種で抗炎症機能があるオリゴエチレンイミンとヒアルロン酸、ゼラチンを複合化して作製したスキャフォールドを用いて、マウス骨髄由来初代マクロファージに対する抗炎症機能を評価した。この際、オリゴエチレンイミンのスキャフォールドへの固定量を制御し、固定量と抗炎症性の関係を評価した。その結果、リポ多糖で活性化したマクロファージは、2 mg/mLのオリゴエチレンイミンが固定化されたスキャフォールド上で炎症性サイトカインの産生量が抑制されることが明らかとなった。また、4 mg/mL以上の濃度では毒性が発現したため、最適なオリゴエチレンイミン濃度を選択する必要があることも分かった。さらに、免疫抑制スキャフォールドを用いた細胞移植試験を行った。マウスの大腿四頭筋を損傷させたモデルに対して、ルシフェラーゼを発現するC2C12細胞を播種したスキャフォールドを移植し、イメージングしたところ、移植した細胞は2週間後において移植部位に生着していることが示された。
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Advanced Functional Materials
巻: 31 ページ: 2100548~2100548
10.1002/adfm.202100548