研究課題
本研究ではディープラーニングを用いて肝臓手術中の超音波画像(以下術中超音波画像)から腫瘍を同定・診断するシステムの開発を行った。初年度の研究ではFaster R-CNNを用いて、術中超音波画像内の腫瘤部分・肝臓の解剖学的構造物の同定が可能となった。腫瘤の識別は一定の程度で行うことができたが領域の提示手法や識別精度などには課題が残った。次年度には、画像の識別手法をMasked RCNNに発展させて、腫瘤・解剖学的構造の識別精度・提示方法が改善することが可能となった。また、学習データの拡張方法を検討し、特定のデータ拡張方法によって識別精度が低下したり向上したりすることがわかった。このため、特定のデータ拡張手法を用いて学習データを増幅させることで識別精度の向上に努めた。昨年度から本年度(最終年度)にかけての研究では、大腸癌・直腸癌に由来する転移性肝癌の術中超音波画像を用いて質的診断を行う方法の検討を行った。腫瘍の質的診断のためにペルフルブタンを経静脈的に投与し、本剤がkupffer細胞に取り込まれた際の超音波画像の特徴を解析するアルゴリズムを開発した。この手法を用いることで、腫瘤として検出された病変が「良性病変である肝嚢胞」や「腫瘤として誤検出された血管など」を除外することが可能であり、転移性肝癌病変としてより正確に検出されうることが示唆された。最終年度はこれまでの研究内容について国内特許の特許申請を行った。現在、国際特許申請の手続きもすすめている。また、本研究の成果についてEuropean-African Hepato-Pancreato-Biliary Association ongress(2023,France,Lyon)にて発表を行った。
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