本研究の目標は過去に開発した超音波で伸縮する脊椎固定術用の医療機器の生体に対する負荷を評価することにある。初年度では水中での負荷評価環境を確立し、次年度では食肉等の畜産物を利用した模型を作成し、動作実験と評価を行なった。最終年度は医師とのヒアリング等を行い、ロッドシステムの実用化に向けた改良を行った。本研究ではこれらの実績について7つの国際会議論文を発表した。 本研究期間において目的としていた「超音波を利用した伸縮機構を持つロッドシステムの人体に関する負荷の評価と軽減」は十分な成果を得た。本研究期間において最も重要な成果はロッドシステムの人体への負荷評価の前段階として水中での評価環境を確立し、MIとTIの両面から評価を行った点にある。水中での評価環境を利用した研究として1つの論文が発表され、詳しい内容は同研究の投稿論文に纏められている。 また、本研究期間において目標としていた「食肉等の畜産物を利用した模型を作成して動作実験」も十分な成果を得た。豚の脊椎と食肉を利用した模型に対して伸縮ロッドを装着し、超音波加振を行い、その挙動を確認した。実験に際して、より環境を再現するため、脊椎長軸に対して引張力を加えた。実験からロッドシステムの伸縮が確認され、食肉等を利用した環境でも運用できることが確認された。食肉等を利用した研究として2つの論文が発表されている。 最後に目標としていた「ロッドシステムの実用化に向けた改良」についても十分な成果を得た。実用化にはロッドシステムの挙動の安定が必要不可欠である。その為の研究としてロッドシステムの締め付けトルクによる挙動の変化、引張力を加えた際のロッドシステムの挙動の評価を行い、4つの論文がそれぞれ発表されている。
|