研究課題/領域番号 |
20K20221
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
盛田 健人 三重大学, 工学研究科, 助教 (40844626)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 画像位置合わせ / 深層学習 / 異常検知 |
研究実績の概要 |
【患者データの収集】神戸大学附属病院において2名の患者を新たに収集し,術前頭部CT画像・切除顎骨CT画像・術後病理画像の撮影を行った.また,位置合わせに用いる特徴点の抽出,病理画像上での骨髄炎発症範囲アノテーションも行い,実験に用いる被験者数を増加させた. 【術後頭部CT画像・術後病理画像間の位置合わせ】術前頭部CT画像・切除顎骨CT画像間で,大まかな位置関係を指定する特徴点3点と画素値分布の一致度を評価する相互相関を併用した目的関数を最小化する剛体位置合わせにより8名中5名の被験者について位置合わせに成功した.失敗した3名の被験者については,CT画像中の骨以外の領域や金属アーチファクトにより画像一致度が正確に評価できていなかったため失敗したと考えられる.切除顎骨CT画像・病理画像間の位置合わせでは,相互相関を最大化する剛体位置合わせを行ったが,病理切片作成時の骨変形のために病理画像中の骨形状が元の形状と大きく異なる場合が多く,剛体位置合わせでは変形の発生している断面については位置合わせに失敗した. 【骨髄炎発症範囲の推定】本項目実施のための術前CT画像上での正確な真値アノテーションは,「術前頭部CT画像・術後病理画像間の位置合わせ」手法の構築後にしか得られないため,本年度は術後病理画像上で口腔外科医によって付与された正確な骨髄炎発症範囲アノテーション情報を参考に,術前CT画像に対し,骨髄炎発症範囲のアノテーションを付与することで学習データを準備し,初期検討を行った.手法として,深層学習モデルVGG16とL2 Constrained Softmax Loss,Local Outlier Factorを用いた異常検知によりF値0.849の精度で骨髄炎発症範囲を推定できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【患者データの収集】計画通り患者データを新たに収集し実験に用いる被験者数を増加させた. 【術後頭部CT画像・術後病理画像間の位置合わせ】術前頭部CT画像・切除顎骨CT画像間での位置合わせ法を構築した.また,切除顎骨CT画像・術後病理画像間の位置合わせについても大まかな位置合わせを行えることが確認でき,現状の位置合わせ法における問題点も明らかにできた. 【骨髄炎発症範囲の推定】本項目は次年度以降実施予定であったが,本年度から初期検討を開始できた.術前CT画像に対して手作業で付与した骨髄炎発症範囲のアノテーションを用いた異常検知によりF値0.849の精度で骨髄炎発症範囲を推定できることを確認した.
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今後の研究の推進方策 |
【患者データの収集】次年度以降も引き続き,神戸大学附属病院における被験者データ収集を継続する. 【術後頭部CT画像・術後病理画像間の位置合わせ】術前頭部CT画像・切除顎骨CT画像間で,大まかな位置関係を指定する特徴点3点と画素値分布の一致度を評価する相互相関を併用した目的関数を最小化する剛体位置合わせにより8名中5名の被験者について位置合わせに成功した.失敗した3名の被験者については,CT画像中の骨以外の領域や金属アーチファクトにより画像一致度が正確に評価できていなかったため失敗したと考えられる.次年度以降は,より正確に画像一致度を評価できる手法について検討を行う.切除顎骨CT画像・病理画像間の位置合わせでは,相互相関を最大化する剛体位置合わせを行ったが,病理切片作成時の骨変形のために病理画像中の骨形状が元の形状と大きく異なる場合が多く,剛体位置合わせでは変形の発生している断面については位置合わせに失敗したため,被剛体位置合わせにより病理切片の変形を考慮した位置合わせを行える手法を構築する. 【骨髄炎発症範囲の推定】深層学習を用いた異常検知により骨髄炎発症範囲を推定する手法を構築した. F値0.847の精度で推定できたが,骨密度の低い領域を骨髄炎と誤判定するなどの問題も明らかとなった.そこで,次年度以降は被験者数の増加と,骨密度の低い領域についても正確に推定が行える特徴量抽出法について検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由):被験者データ収集において,必要なファイルサーバの容量が当初の計画より少なく済んだため. (使用計画):次年度により多くの被験者データを収集予定であるため,必要に応じてHDDの増強を行う予定である.
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