研究課題/領域番号 |
20K20221
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
盛田 健人 三重大学, 工学研究科, 助教 (40844626)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 深層学習 / 画像位置合わせ / 異常検知 / 距離学習 |
研究実績の概要 |
【患者データの収集】神戸大学附属病院において3名の患者を新たに収集し,術前頭部CT画像・切除顎骨CT画像・術後病理画像の撮影を行った.位置合わせに用いる特徴点の抽出,病理画像上での骨髄炎発症範囲アノテーションも行い,実験に用いる被験者数を増加させた. 【術後頭部CT画像・術後病理画像間の位置合わせ】術前頭部CT画像・切除顎骨CT画像間での剛体位置合わせ方について5名の被験者について実験を行い,位置合わせ後の画像間の正規化相互相関係数の平均が0.954の高い精度での位置合わせに成功した.また,目視でも正しく位置合わせされていることを確認した.切除顎骨CT画像・病理画像間の位置合わせについては,2名の被験者の各6枚の病理画像について実験を行った.数値的評価のため,CT画像の骨領域を抽出したマスク画像と病理画像の前景を抽出したマスク画像間でのダイス係数を評価した結果,それぞれの被験者で0.774,0.626となり概ね位置合わせができることが確認できた.病理切片作成時の検体の切断や薬品による検体の変形が原因となり位置合わせが困難な画像が存在することが明らかとなった. 【骨髄炎発症範囲の推定】VGG16とLOFを用いた深層距離学習を用いて骨髄炎範囲アノテーション済みの術前CT画像から切り出したパッチ画像を学習し各小領域が正常か骨髄炎かを推定した結果,画像スライスごとの交差検証においては高い精度で推定できたが,被験者ごとの交差検証においては推定精度が不十分であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【患者データの収集】計画通り患者データを新たに収集し実験に用いる被験者数を増加させた. 【術後頭部CT画像・術後病理画像間の位置合わせ】術前頭部CT画像・切除顎骨CT画像間での位置合わせ法を構築し,高い精度で位置合わせが行えることが確認できた.しかし,切除顎骨CT画像・術後病理画像間の位置合わせについては大まかな位置合わせはできたが,術中や病理切片作成時の検体の変形が影響し,十分な位置合わせ精度を得ることができなかったため改良が必要である. 【骨髄炎発症範囲の推定】画像スライスごとの交差検証に置いてはF値0.849の精度での推定に成功したが,被験者ごとの交差検証では十分な精度が得られなかったため,次年度にさらなる検討を行う必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
【患者データの収集】次年度以降も引き続き,神戸大学附属病院における被験者データ収集を継続する. 【術後頭部CT画像・術後病理画像間の位置合わせ】切除顎骨CT画像・病理画像間の位置合わせでは,術中や病理切片作成時の検体の変形が影響し,十分な位置合わせ精度が得られなかったため,これらの影響を考慮した位置合わせ・評価指標について検討を進める. 【骨髄炎発症範囲の推定】推定モデルの汎化性能向上のため,これまで用いてきたクラス分類モデルによる距離学習から,対照学習(Contrastive Learning)と距離学習を組み合わせた手法について検討し,汎化性能を向上できるか検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由):前年度の被験者データ収集の遅延により深層学習に用いるGPUを早急に追加購入する必要が無く,さらにGPU価格の高騰も重なったため,次年度に計算機の購入を遅らせ資金を効率的に利用するため. (使用計画):被験者データの収集が十分進み,また,2022年度にはGPUの価格高騰もある程度抑制されるため計算機の追加購入を行う.
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