研究課題/領域番号 |
20K20223
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
伊原 航平 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 講師(研究機関研究員) (10866106)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / リキッドバイオプシー / 診断 / シトクロムP450 |
研究実績の概要 |
本研究は、薬物代謝酵素シトクロムP450を用いた新規の診断技術である「P450蛍光阻害アッセイ法」により、神経変性疾患の1種であるアルツハイマー病の診断方法の開発を目指した研究である。シトクロムP450は、疾患の発症によりその発現量が変化することが知られており、この変化によって血中に存在するP450に関連する物質の量や質が変化することが予想される。本アッセイ法は、血中のP450に関連する代謝産物の変化を検出するための新規のリキッドバイオプシー技術である。本研究はこの方法がアルツハイマー病の診断に適応可能であるかどうかを明らかにすることを目的としている。本研究では、数十症例のアルツハイマー病患者血清および、アルツハイマー病モデル動物から取得した血清を用いた診断精度の評価を行う。また、シトクロムP450の活性を阻害する血清中の物質の分離同定を目的とした実験も実施する。 アルツハイマー病患者血清を用いてP450蛍光阻害アッセイを実施した結果、アッセイに使用した複数のシトクロムP450分子種で患者群と健常者との有意な変化が認められた。また、アルツハイマー病以外の疾患に罹患した患者血清を用いて解析を行った結果、アルツハイマー病や健常者とも異なった変化が認められた。以上のことから、本アッセイ法がアルツハイマー病に適応できる可能性があり、同時にほかの疾患とも区別が可能であることがわかった。一方、アルツハイマー病モデル動物を用いた実験は、現在モデル動物を作成中であり、詳細な解析は今後実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染症の影響により、2020年の4月から5月末にかけて実験施設の停止期間がありアルツハイマー病モデルマウスを用いた実験の開始時期がずれ、予定よりも2~3か月遅れての実験開始となった。一方で、動物を使用しない実験は当初の予定よりも進んでおり、本技術のアルツハイマー病以外への適応の可能性を調べる実験を実施することができた。総合すると、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、アルツハイマー病モデルマウスを用いた実験および、血清中のシトクロムP450阻害物質についての解析を実施する。また、他の神経変性疾患での診断技術の検討も行い、本技術の特異性の評価や、適応疾患の拡大を目指した研究を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響で実験開始時期に遅れが生じたこと、また、モデル動物の作製に当初の予定よりも時間がかかっているため、動物の解析などが実施できず、未使用額が生じた。しかし、解析は次年度以降に実施するため、未使用額分は当初の目的通りに使用する。
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