研究課題/領域番号 |
20K20235
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
赤司 純 産業医科大学, 医学部, 修練指導医 (80865981)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 機能性僧帽弁逆流 / 僧帽弁組織延長 / 左室収縮不全 / 3次元心エコー法 / 心不全 |
研究実績の概要 |
本研究の要旨は以下の4点である。①左室壁運動が全体的に高度低下している症例において真の左室収縮能(Ees)を非侵襲的に求める。このようにして「高度かつ同程度の左室収縮不全の60症例をエントリーする。②経胸壁3次元心エコー法により僧帽弁尖組織の面積・弁輪周囲長および弁尖の縦方向の組織長を独自のソフトを用いて計測する。③症状および心エコー図検査により弁尖テザリング・健常者30名および全体的かつ高度に左室収縮能低下の60例を対象とする。左室収縮能低下例を心不全がより重症の30例およびより軽症30例に群分けし、心不全重症度を決定する。④上記より「僧帽弁尖組織延長が弁尖テザリング・機能性僧帽弁逆流(FMR)および心不全を軽減するか?」検討する。本研究の対象は健常者30名および全体的かつ高度に左室収縮能低下の60例を予定しているが、本年度は健常者30名および左室収縮能低下の40名の登録ならびにそれぞれの標準的な左室機能・僧帽弁機能・心機能の評価、左室Eesの算出、3次元心エコー法による僧帽弁尖組織サイズ(組織延長)の定量を行った。一般に、心筋(細胞)収縮能低下や拡張能低下が心不全の重症度を決定すると理解され、他の心機能因子の関与はあまり考慮されない。近年、心不全例ではしばしば僧帽弁尖組織が延長し、FMRを軽減することが報告されている。しかしながら「同程度の心筋収縮能低下例において僧帽弁尖組織延長が弁尖テザリング・FMR・心不全重症度に影響を与えるかどうか検討した研究」はこれまでなく、本研究は極めて独自性が高い。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の対象は健常者30名および全体的かつ高度に左室収縮能低下の60例を予定しているが、本年度は健常者30名および左室収縮能低下の40名の登録を達成することができた。本年度のペースで症例登録が進めば計画書に準じた目標症例数に達すると思われる。弁尖テザリング・FMRおよび心不全重症度順位の決定、重症および軽症CHF・MVテザリング・FMR群間の相違の検討の統計学的解析までは達しておらず、「(2)おおむね順調に進展している。」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
現段階では当初の研究計画にて推進可能と思われる。研究を進める過程で仮説を支持する結果が得られない場合は「同程度の左室心筋収縮機能低下」の幅を狭くし、なるべく近似した収縮不全における弁尖組織延長の効果を検討する。しかしながら、数例を解析しただけで仮説に合致する症例数が多く観察されている。今後は症例数を増やして、同様の結果が得られるかどうか検討していく段階となっており、本研究の実現可能性は高いと判断している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は新型コロナウイルス感染症蔓延に伴い各学術集会の開催が中止や遠隔での開催となり、直接経費が予定よりも大幅に下回った。また、超音波デジタル画像解析装置に予定していた予算が軽減したこと等が相まって次年度使用額が生じた。また3D画像データ収集量が予定よりも多くなっており、外付けハードディスク等の備品の購入予定としている。また新型コロナウイルス感染症蔓延の状況が落ち着いたら、各学術集会が開催されることが予想され、国内旅費や外国旅費として使用予定としている。
|