研究実績の概要 |
近年の急速な技術の進歩によって、核医学領域では各施設の画質の差が拡がっている。従来の画質評価法ではその差を正しく評価することができない。画質を診断医(ヒト)の見え方に基づいて評価することは、各画質を絶対評価する上で有効な手段であると考えられる。本課題では顕著性を用いることで主観に近い客観的評価が可能となると考え、評価法の確立を目指している。 昨年度まで成果として、顕著性を核医学分野(シンチグラフィ)の画質評価に適用して基礎的検討を行った(核医学技術 2021, 41(2), 175-184)。顕著性の妥当性は視覚的な評価と比較して示したが、定性的な評価であった。そこで、評価者の視線情報をアイトラッキングによって取得し、その動きと顕著性を比較することで定量的な評価を行った。視覚スコアと同様に、視線情報とも高い相関を示し画質評価指標として有用であることが示された。これまで自然画像で研究されてきたように、顕著性は核医学(PET)画像においても応用可能であることが示された。今年度は上記の内容をまとめた原著論文を国際誌にアクセプトさせることができた(Radiation 2022, 2(3), 248-258)。 本手法は現在、均一なファントムでのみ使用可能なものであり、不均一な撮像対象においても使用可能となる方法を模索している。前後のスライス画像の変化から発生する顕著性を利用することを予定している。また、近年ではディープラーニング(DL)を用いた顕著性の算出が広く行われていることからDLを用いた手法を検討する。
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