研究課題/領域番号 |
20K20251
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
前田 英紀 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (90870048)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ドラッグラグ / 抗がん剤 / 国際比較 / 審査期間 / 日本 / 公知申請 / 薬価制度 / レギュラトリーサイエンス |
研究実績の概要 |
本研究では2001年1月以降、2020年3月までの間に、PMDAによって承認されたすべての抗がん剤を対象に検討を行うこととし、独自のデータベースを作成している。2020年度には2001年1月~2020年3月において調査対象とした抗がん剤の総数を259剤同定し、各種データの整備、入力、ドラッグラグの推移の検討を行い、日本と米国のドラッグラグを算出した。その結果、以下の中間結果を得ている。 ①承認ラグに関しては、2002年をピークに平均値は減少傾向にある(ピーク時2002年の2759日から2018年の170日へ短縮)が、0にはなっておらず、ドラッグラグは存在する。 ②米国よりも先に日本で承認された薬はマイナスの数値として扱うため、ラグは0に近づくと予想していたが、予想ほど0に近づいてはいない結果となった。 ③中央値が平均値よりも顕著に減少傾向にあるのは、nが増加したことで外れ値が増加したためではないかと考えられることから、今後の調査で、外れ値に一定の傾向や、背景の共通点がないか探っていきたい。 ④外れ値としてラグが長いものの多くは公知申請に起因すると考えられる。
また関連研究として、ドラッグラグの是正に寄与したと考えられる公知申請に関する研究を行い、第141回日本薬学会にて報告を行った。その中で抗がん剤の公知申請がドラッグラグを是正した可能性を示した。また同様に関連研究として抗がん剤の薬価に関する研究を行い、第10回レギュラトリーサイエンス学会および第141回日本薬学会で報告を行った。その研究の中では抗がん剤の開発手法と薬価改訂との関連があることを示唆し、開発モチベーションへの影響、ドラッグラグへの影響を考察した。両研究ともに日本における抗がん剤のドラッグラグに関する知見として重要なものだと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究成果は当該研究に関しては予定どおりに進行した。また関連研究として公知申請に関する研究、抗がん剤の薬価改訂に関する研究に着手し、一定の成果を出した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定どおりに研究を進める。2021年度はドラッグラグへの影響因子の検討、解析、データ整備・入力の修正を行う。解析は全変数による回帰を行った後に、総当り法を用いたAIC(Akaike’s Information Criterion)を最小にするモデルを選択する。統計解析ソフトウエアはSASまたはJMPを用いる予定である。また可能な範囲で中国における承認状況も調査していく予定である。 さらに関連研究として実施している公知申請および薬価の研究に関しても引き続き論文発表等の報告を行っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定どおりに使用している。
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