研究課題/領域番号 |
20K20252
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
島峰 徹也 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (10842015)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アクチュエータ / リニア振動アクチュエータ / LOA / HFOV / 高頻度振動換気 / VCM / ボイスコイルモータ |
研究実績の概要 |
高頻度振動換気(HFOV)用人工呼吸器の駆動部であるボイスコイルモータ(VCM)の機能を代替し、さらに小型化を達成するために、単巻線形リニア振動アクチュエータ(LOA)を用いてHFOV用人工呼吸器としての条件を満たす最適な設計を検討した。Magnetはネオジム磁石を採用し、VCMの最大ストローク24.5mmを満たす最小の寸法としてLOAの移動子の高さ(24.5mm×2=49mm)を決定した。また、LOA全体の直径はVCMと同じくφ127mmに設定し,コイル断面の占積率60%以下となるように最大コイル巻き数を設定した。そして設計した単巻線形LOAを軸対称2次元モデルに変換し、有限要素法にて静推力特性と動推力特性のシミュレーションを実施した。移動子、固定子のピッチ幅(1mm~10mm)やMagnetの高さ(5mm~20mm)、固定子のティース長さ(0mm~10mm)についてさらに条件を変更し、HFOV用人工呼吸器としての条件を満たす最適な単巻線形LOAの寸法を模索した。 最終的に採用した単巻線形LOAの寸法でのシミュレーションの結果、VCMの動推力特性のような安定した正弦波出力とはならなかったが,安定した動推力で最大ストローク24.5mmを達成しており、移動子の往復運動を表現できることがシミュレーションによって示唆された。また単巻線形LOAの体積比としては、VCMと比較して固定子で19.6%、移動子で9.2%まで小型化が可能であることを示唆した。この結果は日本AEM学会へ論文投稿し、採択された。 今回設計した単巻線形LOAでは実機と有限要素モデルの解析の妥当性を確認できていない。今後は設計したモデルを基に単巻線形LOAの試作機を製作し、ピストンを用いたHFOV用人工呼吸器のアクチュエータとしての性能評価を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の目標であるLOAの設計に関して検討することができ、静推力特性や動推力特性をシミュレーションして単巻線形LOAの1次寸法を規定することができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
設計したモデルを基に単巻線形LOAの試作機を製作し、HFOV用人工呼吸器のアクチュエータとしての性能評価を実施する。まずは回路内圧、流量を測定する実験システムを構築し、現行のVCMを用いたHFOV用人工呼吸器の換気性能を評価する。次に単巻線形LOAの試作機を製作して実験システムに組み込み、同じく回路内圧、流量を測定して、VCMと単巻線形LOAでの換気性能を比較する。単巻線形LOAに使用するマグネットはフェライト磁石とサマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石の3種類にて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの関係で学会がオンラインとなり、旅費として使用であった金額を使用しなくなった。また、LOAの1次試作機の金額を抑えたために、計514,300円が未使用となった。しかし今後さらに作製予定のLOA試作機に関しては、想定していた金額より多くの部品が必要となる予定のため、この次年度使用金額にて補填する。R4年度の使用計画としては、先ほど述べた更なるLOA試作機の特注と論文発表のための経費に使用予定である。
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