研究課題/領域番号 |
20K20252
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
島峰 徹也 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (10842015)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アクチュエータ / リニア振動アクチュエータ / LOA / HFOV / 高頻度振動換気 / VCM / ボイスコイルモータ / 単巻線形LOA |
研究実績の概要 |
本研究では,高頻度振動換気(HFOV)人工呼吸器の部品の中でも多くの体積を占めるモータの小型化を対象とした。リニア振動アクチュエータ(LOA)は,構造が大変簡単で,HFOVの基本動作であるピストン部の往復動作が変換機構なしで得られるため,システムが簡単となり信頼性が向上するなどの特徴を有するアクチュエータである。HFOV人工呼吸器用アクチュエータとして構造が簡単な単巻線形LOAに着目し,小型化のための開発を行った。 今年度は現行で臨床使用しているボイスコイルモータ(VCM)の性能を確認するために,回路内圧,流量,1回換気量を測定する実験システムを構築した。VCMの先にはPistonを装着し,HFOV用純正人工呼吸器リユース回路の口元Yピース部分にimtメディカル社製フローアナライザPF-300を装着,フローアナライザの先には新生児用テストラング(コンプライアンス0.60mL/cmH2O(計算値),抵抗75cmH2O/L/s(計算値),容量50mL)を装着した。フローアナライザPF-300の設定は,湿度0%,実測している大気圧(1004mbar)とガス温度(24.5℃)によって換気量を計算するATPD(Ambient Temperature and Pressure Dry)とし,HFOV駆動中の回路内圧,流量,1回換気量をサンプリング200Hzでそれぞれ測定した。HFOV用人工呼吸器の換気設定はModeをHFO,1回換気量10mL~60mL,換気回数15Hz,平均気道内圧0cmH2Oとした。この実験システムにより,15Hzの安定した回路内圧,流量,1回換気量が測定でき,有用性を示すことができた。次年度は単巻線形LOAの実験システムにてモータの有用性を確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現状のHFOV用人工呼吸器や呼吸器回路・フローアナライザを応用して,開発しているモータの評価システムを構築することが出来たため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はHFOV用人工呼吸器のアクチュエータとしての性能評価を実施するための回路内圧,流量,1回換気量を測定する実験システムを構築し、現行のVCMを用いたHFOV用人工呼吸器の換気性能を評価した。今後は単巻線形LOAの試作機を製作して実験システムに組み込み、同じく回路内圧、流量を測定して、VCMと単巻線形LOAでの換気性能を比較する。単巻線形LOAに使用するマグネットはフェライト磁石とサマリウムコバルト磁石にて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
現状臨床使用しているHFOV用人工呼吸器が(株)メトランのご協力により借用できたこと、また人工呼吸器回路やピストンも既存のもので流用できたことにより、金額を抑えることができ、計563,553円が未使用となった。しかし今後LOA試作機の作成に関して、想定していた金額より多くの部品が必要となる予定のため、次年度使用金額にて補填する。R5年度の使用計画としては、先ほど述べた更なるLOA試作機の特注と論文発表のための経費に使用予定である。
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