研究課題
腹腔鏡手術では、医療用内視鏡を用いた腹腔鏡カメラが術者の目である。しかし、手術中に温度差による曇り、また血液や電気メス切除による体液の飛散などで、レンズが汚れ、視界が得られなくなることがある。現状では、途中でスコープカメラを取り出し、レンズ先端を洗浄しているが、そのたびに手術が中断され手術患者に大きな負担をかけている。これらの課題を解決する案として、腹腔鏡スコープカメラレンズ表面をカタツムリの殻構造を模倣したナノメタマテリアル構造として、防曇・防汚機能を有するスコープカメラレンズの開発・実用化を目指す。医療認可に耐えうるナノ凹凸構造作製として、半導体微細加工技術であるEBリソグラフィー技術を用いて、石英ガラス表面上にナノ凹凸構造を作製した。プロセスが容易なSi表面上とは違い、石英ガラス上の200nmナノ構造体は、EBリソグラフィープロセスにおいて、レジスト残りが重要な要因となるため、露光条件を幅広く評価し作製を行った。また、ナノ凹凸微細構造(200nm)による水中撥油評価だけではなく、実際の現場で用いられる技術にするため、可視光領域以下のナノ凹凸構造物(100nm)の作製も新たに行っている。可視光領域350nm~800nmの透過率評価を行ったところ、200nmのナノ凹凸構造体透過率は、40%(波長領域350nm)、90%(波長領域500nm)、100%(波長領域600nm以上)の結果であった。今後、石英ガラス表面に200nm以下の微細な凹凸構造をつけ、透過率評価を含めた汚濁のメカニズムを継続して評価している。
2: おおむね順調に進展している
今年度は、石英ガラス上にナノ凹凸構造体の作製(200nm)を目指していた。コロナ禍の影響により、大型装置類の使用状況が芳しくないにも関わらず、リソグラフィープロセスを確立させ、石英ガラス上にナノ凹凸構造体(100nm)を作製可能なプロセスにも手を付けることが出来ている。最大の課題として、レンズとしてクリアな画像が得られるために透過率低下を10%以下に抑える(高透明性の確保)ためのナノ構造体サイズを明らかにしただけではなく、実際の作製にまで至っている。更なる作製プロセスとして、腹腔鏡スコープカメラレンズ表面(実際に用いられているレンズ)に半導体技術を用いて、ナノ加工を作製する。また新たな知見として、可視光領域以下のナノ構造作製により継続して、汚濁のメカニズム評価を行う。
レンズとしてクリアな画像が得られるために透過率低下を10%以下に抑える(高透明性の確保)ためのナノ凹凸構造体を作製する。更なる作製プロセスとして、腹腔鏡スコープカメラレンズ表面(実際に用いられているレンズ)に半導体技術を用いて、ナノ加工を行う。可視光領域以下のナノ構造作製により継続して、汚濁のメカニズム評価を継続して行う。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件)
Journal of Photopolymer Science and Technology
巻: 33 ページ: 279-285
10.2494/photopolymer.33.215
巻: 33 ページ: 215-220
10.2494/photopolymer.33.451
巻: 33 ページ: 205-213
10.2494/photopolymer.33.205
巻: 33 ページ: 603-608
10.2494/photopolymer.33.603
巻: 33 ページ: 599-602
10.2494/photopolymer.33.599