研究実績の概要 |
我が国では,少子高齢化社会で技術者が減少する中,どのようにしてインフラサービスの維持管理を継続して行っていくか社会課題となっている.未来に向けて,物流の要であるインフラサービスを持続していくためには,効率的なメンテナンス技術を開発することが急務の課題となっている.研究開発を進めていたメンテンナスフリー技術である撥油・防塵機能は, 医療,工業,インフラ設備まで様々な分野に応用することができる.生体由来の防汚技術として,ハスの葉・カタツムリ殻等にみられる表面は,物理的な微細な凹凸構造を付けることにより,撥水性をもたせて汚濁を防ぐことが出来るため,半導体微細加工技術を用いることにより,防汚・防塵効果を示してきた.しかし,産業用途にするには,コストが高く,加工範囲も狭いため,社会実装として現実的ではない事も分かってきた.そこで,この基礎技術である防汚・防塵機能を社会実装に向けるため,汎用性の高い加工技術への模索を行うと同時に,医療用途・インフラ応用への成果を示した. 例えば,インフラ構造物を効率的に維持管理することは重大な課題である.鉄道では,安全性・快適性の観点から,画像計測によってレールの状態を管理しているが,計測用ターゲットに酸化鉄や泥が付着すると,計測精度が低下する.他方,橋梁・橋脚に塩分が付着することで塩害や腐食が生じ,耐荷力の観点から大規模な補修・補強が必要な場合がある.このように,外来物に起因する計測精度の低下や構造物の機能低下が問題である.問題解決のために,対象物表面に防汚機能を持つナノ構造を付与し,外来物の付着を抑制することを目的とする.ナノ表面機能付与の構築手段として,ウェットブラストを利用することで,汎用性の高い技術の構築を目指した.結果,鉄道の現場に,社会実装の実証を行っている.
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