研究課題/領域番号 |
20K20259
|
研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
佐藤 健斗 北海道科学大学, 保健医療学部, 助教 (80868373)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | セルロースナノファイバー / 短下肢装具 / 製造方法 |
研究実績の概要 |
脳卒中片麻痺患者は、障害の程度によっては歩行が困難となるため、ポリプロピレン等のプラスチックを主材とした短下肢装具を装着することが多い。しかしながら現在の装具では冬期間の破損のリスクが高いことや、一定の強度を要する為に素材の厚みを厚くせざる負えない状況から靴の選択の幅を狭めることで利用者からの受け入れが悪い状況にある。 一方で、近年注目されているセルロースナノファイバーは素材として高強度かつ低比重であり環境負荷も小さく、プラスチックの複合材として大きな可能性を秘めており、現在のプラスチック製装具の持つ問題を解決する可能性を秘めている。 本研究ではセルロースナノファイバーを複合材として用いた短下肢装具を実用的に臨床で活用するための製造工程を確立することを目標とする.セルロースナノファイバーを用いた短下肢装具の製造においては,どのような製造工程が運用しやすく,かつ安定した製造ができるのか短下肢装具製造工程のプロセスを確立する. 加えて,短下肢装具として形にしたセルロースナノファイバー複合材料の厚みと機械特性の関係性を機械試験によって明らかにするとともに,実際の短下肢装具使用者を対象とした歩行分析や、筋骨格モデリングシミュレーションソフトを利用した検討によって、その特性および実用性を明らかにする. 本研究によってそれまで装具の受け入れが悪く、利用につながっていなかった脳血管障害患者を装具の利用につなげ、健康寿命の延伸に少しでも力添えできればと考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年は熱硬化性樹脂へセルロースナノファイバーの混練を安定して行うことができるようになった。また、義肢装具領域で使用されているアクリル樹脂の中でも混練が容易にできる材料を特定することができたことがこれまでの成果である。 一方で昨年度生じた計画の遅れを取り戻すには至っていない。 セルロースナノファイバーの増粘作用により、濃度によっては通常の装具製作プロセスでは短下肢装具として成型するためのラミネーション作業を行うことが難しいことがわかってきた。そのため、現在は装具製作に適したセルロースファイバーの濃度を検討している段階である。
|
今後の研究の推進方策 |
短下肢装具としてラミネーションにより成型可能な、セルロースナノファイバーの添加濃度を特定し、まずは板状での物性を確認する予定である。また、併せてセルロースナノファイバーの添加により、通常よりも粘度が増したアクリル樹脂をラミネーションするプロセスについても検討を行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、予定していた旅費の支出を伴う打ち合わせが無かったため。
|