本研究の目的は、良姿勢の構築による腹横筋などのインナーマッスルの活動を促す体幹訓練機器Trunk Solution(以下、TS)を使用することで、肩関節周囲筋の筋活動へ与える影響を、健常成人と脳血管疾患者を対象として検証し、臨床応用を目指すことであった。 脳血管疾患者8名と健常成人25名(男性15名、女性10名)をTSの使用の有無による肩関節外転運動における肩関節筋活動量にて評価したところ、健常成人では、二元配置分散分析による解析の結果、三角筋と僧帽筋のそれぞれにおいてTSの有無と角度間で有意差がみられ、交互作用も認められた。 一方で、脳血管疾患者では、二元配置分散分析の結果、角度間においてのみ有意差を認めた。そこでTSのありとなし、それぞれの場合においてクラスカルウォリス検定を実施したところ、TSなしの場合では僧帽筋においてのみ有意差を認め、多重比較により、0°と90°の間においてのみ有意差を認めた。TSありの場合においては、三角筋と僧帽筋のそれぞれで有意差を認めた。多重比較により三角筋では0°と90°の間に有意差を認め、僧帽筋では0°と90°に加え、30°と90°、60°と90°の間にも有意差を認めた。 これらのことから、TSを装着することにより健常成人においては顕著に肩関節周囲筋の筋活動が増加し、脳血管疾患者においても筋活動を増加させやすくなることが示唆された。 臨床的には、脳血管疾患者にTSを装着することで、肩関節周囲筋の促通を行いやすくなることが期待される。
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