2022年度(3年目)は面対称な点群と陰関数を用いた点群欠損の検出手法を提案し、シミュレーション実験により提案手法の特長を示すことができた。そして、計測自動制御学会の第23回システムインテグレーション部門講演会(SI2022)にて優秀講演賞を受賞することができた。 食事の摂取量(カロリー)を正確に推定するためには食物の体積を正確に推定する必要があるが、生活支援ロボットに搭載されたRBG-Dカメラで点群を取得する場合、食物の外縁部において点群が欠損することが問題となっていた。本研究では取得点群に対して面対称となる点群を生成し、取得点群と対称点群を合成することで、食物の外縁部に発生する欠損を穴として表現することを提案した。これにより、穴の有無で欠損の有無を高速に判別できることを示した。また、食物の中心部の欠損を補完する従来手法(ポアソン法)で、食物の外縁部の欠損を補完できることを示した。ポアソン法は陰関数で物体の表面形状を近似する手法であるため、簡単な積分計算で食物の体積を高精度に推定することにも寄与する。しかしながら、有効性を示せたのは欠損が小さな場合に限られており、欠損が大きな場合に対しては新たな物体表面再構成法が必要となる。 点群は点の集まりであるため、座標幾何学やグラフ理論などを参考に大きな欠損を補完する手法を検討したが、法線方向などの局所特徴量に基づいた手法では食物の表面を再構成することが難しいという結論に至った。そのため、敵対的生成ネットワーク(GAN)などを参考に食物の外縁部に点群を生成する手法が有効であると考えている。
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