研究課題/領域番号 |
17H06199
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小川 卓克 東北大学, 理学研究科, 教授 (20224107)
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研究分担者 |
岩渕 司 東北大学, 理学研究科, 准教授 (40634697)
丸田 薫 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (50260451)
服部 裕司 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (70261469)
石毛 和弘 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (90272020)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2023-03-31
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キーワード | 非圧縮性Navier-Stokes 方程式 / 臨界適切性 / 非線型熱方程式 / 有界平均振動のクラス / 動的境界条件 / 非圧縮性Navier-Stokes 方程式 / 可解性 / 最大正則性 |
研究実績の概要 |
研究代表者の小川は燃焼系のダイナミクスに大きな与える, 圧縮性・非圧縮性Navier-Stokes方程式に対する臨界適切性を研究した. とりわけ非圧縮性粘性流体方程式の時間大域可解性を考察するうえでスケール臨界におけるもっとも広い空間である, 有界平均振動(BMO)のクラスに対して線形の熱方程式及びStokes方程式の解の最大正則性を議論し, 清水扇丈氏(京大人環)と共同で有界平均振動のクラスにおける最大正則性とその最良初期トレース評価を確立した. この結果は非圧縮性粘性流体の初期値問題の可解性をFujita-Katoの原理に基づいて研究するうえで今日知られているもっとも広い空間であり, またKoch-Tataruに寄る可解性の結果に相当する構造を準線形問題に拡張できる可能性をもつ一般的な評価である. 特に有界平均振動のクラスは回帰的ではないので, 最大正則性の一般論に依る構成の必要条件である無条件円チーンゲール差性が破綻することに注意する. 今回の研究で, こうした困難が回避されBMOにおける様々な粘性流体方程式(たとえばHall効果をもつ磁気粘性流体など)の可解性が議論できるようになった. また分担者の石毛は燃焼系に直接関わる, 非線型熱方程式の研究を進め, 非線形分数冪拡散方程式が可解であるために許容できる初期関数の特異性の特徴付けを行い、可解であるための最善な十分条件を得た。また、非線形境界条件や動的境界条件化における放物型方程式の可解性や定性的性質についても研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非圧縮性粘性流体に対する様々な臨界可解性研究と燃焼過程に重要な非線型熱方程式や反応拡散方程式の適切性に対する臨界適切性といった重要な問題に大きな進展が見られる. こうした問題の結果が実学でどのように観察されるかについて今後の研究の糸口が開きつつあるように見られる.
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今後の研究の推進方策 |
BMOでの最大正則性の確立により, 準線形の問題, たとえばHall効果をもつ非圧縮性Navier-Stokes 方程式の可解性が議論できるようになった. このため, Hall効果や燃焼に関わる反応拡散系との連立型における, 有界平均振動のクラスについて議論を進める. また燃焼問題特異火炎球の解析に必要な初期値境界値問題に対するFujia-Katoの原理が展開可能かどうかについてもっとも単純な初期値境界値問題に対する, 初期値境界値問題の最大正則性を臨界空間で考察するなどを検討する.
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