研究課題/領域番号 |
17H06202
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坂和 洋一 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (70242881)
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研究分担者 |
森田 太智 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (30726401)
星野 真弘 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90241257)
Morace Alessio 大阪大学, レーザー科学研究所, 特任助教(常勤) (70724326)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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キーワード | 相対論的磁気リコネクション / レーザー宇宙物理学 / 粒子加速 / 協同トムソン散乱計測 / 高出力レーザー |
研究実績の概要 |
宇宙線の加速機構の一つとして提案されている磁気リコネクションでは、プラズマアウトフローの流体速度が磁場強度に比例するアルフベン速度vAまで加速され、強磁場プラズマ中ではvA がほぼ光速となるため、相対論的なリコネクションによる粒子加速がおこる。この相対論的磁気リコネクションの基礎実験を行った。 高出力レーザーをニッケル製のキャパシタコイルターゲット (CCT) に照射する事により、2 枚の電極間で高速電子の発生に伴う電位差が生じ、電極間に設置したコイル部に電流が流れkT 級の準定常強磁場が生成される。実験では、0.1 - 1 Torrの水素の雰囲気ガス中で激光XII号レーザービームを真空容器の上下 z = +/- 3.8 mmに設置した2つのCCTに照射して、2つのコイル部の先端 z = 0 に反平行磁場を生成した。水素ガスはレーザー生成プラズマからの輻射によって電離される。コイル部に電流が流れる事によってコイルがプラズマ化・熱膨張し、このニッケルプラズマがインフローとして磁力線および強磁場中で磁化された水素プラズマを押しつけ、磁気リコネクションが発生する。反平行磁場と平行磁場配位で加速されたプロトンのアウトフローをラジオクロミックフィルム / CR-39スタックを用いて計測した。CR-39の飛跡からプロトンのエネルギースペクトルを導出すべく、解析を行っている。リコネクションに伴うプラズマのダイナミクスと電子・イオン温度、電子密度を、可視自発光計測、シャドウ・干渉計測、協同トムソン散乱計測、等により測定した。CCTターゲットによって生成された磁場強度は、磁気プローブによって計測した。現在、これらの計測結果の解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
激光XII号レーザーを用いた準定常強磁場中の磁気リコネクション実験では、1方向からの高出力マルチ(12)ビーム照射が可能という特性を生かし、真空容器の上下に設置した2つのキャパシタコイルターゲットを用いて、kT 級の反平行または平行磁場配位を形成して実験を行った。雰囲気ガス中でレーザー生成プラズマからの輻射によって電離・磁化されたプロトンを用いた磁気リコネクション実験を行い、世界に先駆けて加速プロトンのエネルギー計測を行った。
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今後の研究の推進方策 |
高出力レーザーとキャパシタコイルターゲットを用いた準定常強磁場中の磁気リコネクション実験では、反平行磁場と平行磁場配位で加速されたプロトンアウトフローのエネルギーをCR-39スタックを用いて計測する。スタックの前面に設置する金属フィルターを階段状に配置する事によってプロトンのエネルギースペクトルを導出し、反平行磁場配位で熱的プラズマに加えて磁気リコネクションによる非熱的プラズマのエネルギー分布を観測する。磁場強度と磁化プラズマ密度をそれぞれ制御して異なるアルフベン速度領域で実験を行う。 臨界密度程度のプラズマに高強度レーザーを入射することにより、高速電子流とそれを中性化する帰還電流によって対向流を生成し、励起されるワイベル不安定性によって数 10 kT の自己生成乱流磁場を発生させる。この乱流磁場のリコネクションによってプラズマアウトフロー速度 v_out は v_out ~ v_A (アルフベン速度) ~ cとなり、荷電粒子がこのアウトフローとの衝突によって加速される。この「乱流磁気島による荷電粒子の相対論的磁気リコネクション加速」を世界に先駆けて研究する。実験は、HERMES (理化学研究所) 500 TWレーザーを薄膜ターゲットに照射する事によってワイベル不安定性を励起し、その詳細な時間・空間発展をX 線自由電子レーザーを用いたX線小角散乱およびPhase Contrast Imageによって計測する。実験に先立ち、実験パラメータ最適化のための粒子シミュレーションを行う。2018年下半期のマシンタイム公募に応募し、採択されればワイベル不安定性励起実験を行い、フィラメント構造を持つ自己生成乱流磁場の時間発展を計測する。
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