研究課題
結晶AlGaAs の反射膜としての高反射率性能、及び、光学損失性能を評価するために必要な鏡基材のレーザー波長別吸収量評価実験、及び吸収量解析を行った。結果、準備される基材のメーカーやそのメーカーの製造条件により、予期しなかった吸収量のばらつきが見られたため、予定より多くの鏡基材サンプルを収集した上で評価実験、解析を再度行う必要が生じ、シリコン基板の性能調査を継続した。新規に、波長1.5μm で、周波数が高速調整可能なファイバーレーザー、アイソレーター、偏向素子、全反射鏡、レンズ、それらのホルダーや微調位置調整機器、EOM、AOM を用意し、二枚の鏡によってFabry-Perot共振器を形成し、その反射率特性、ロス測定の計測系を構築した。光共振器の共振制御は、Pound-Drever-Hall で行い、AOM による1 次光遮断によるFP共振器透過光の光量減衰の時定数の測定から求まるフィネスから反射率を計算するシステムを構築した。強度変調伝達関数測定では、AOM を用いて行いてFabry-Perot 共振器への光強度に変調をかけ、前後の光強度の伝達関数を計測し、その1 次ローパスフィルター特性からフィネスを推定し、同様に反射率を求める系となっている。透過率の測定系として、入射前後のレーザー光量の比較の他にその比較をkHz 帯域の強度変調成分の比較によっても行い、精度を確認する系を構築した。反射率や損失の測定は、面内の一カ所ではなく、FP共振器を構成する平面側の鏡を上下左右にスライドさせる系も構築した。
3: やや遅れている
鏡基材サンプル収集、レーザー波長別吸収量評価実験、吸収量解析、レーザー光源と鏡基材の準備を行い、平成30年3月までに、実験を行う予定であった。平成29年11月、シリコン鏡基材のレーザー波長別吸収量評価実験、及び吸収量解析の結果、準備されるシリコン基材のメーカーやそのメーカーの製造条件により、予期しなかった吸収量のばらつきが見られたため、予定より多くの鏡基材サンプルを収集した上で評価実験、解析を再度行う必要が生じた。その他の実験準備については、研究実績の概要のようにおおむね予定通り進行している。
鏡基材の性能評価実験を継続し、結晶AlGaAs の反射膜としての高反射率性能、及び、光学損失性能が確保できる基材の性能調査を継続する。調査後、選定された基材を利用した鏡基材の研磨を行う。目標とする局所的表面粗さは1Å以下(目標0.5Å)、表面形状は理想平面・曲面に対しλ/50 以下(目標λ/100)とする。表面形状を計測するためのZYGO 装置や探針接触型表面形状測定装置は、国立天文台の共同利用申請を行うことにより使用可能なので、それを利用する。表面性能が確認された後、AlGaAs コート前の表面の光散乱量の測定を、積分球を用いて行う。一方コートするAlGaAs の機械的損失測定は、大口径ウェハ型シリコン基材(1mm 厚)のコート前後でのウェハの機械的Q 値(損失値φ の逆数)の比較から導く手段により行う。そのためのウェハ支持機構、ウェハ共振振動励起及び振動検出装置、及びそれらを格納する真空タンク一式は東大宇宙線研に既にあるため、それを利用する。
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Progress of Theoretical and Experimental Physics
巻: 1 ページ: 013F01
Earth, planets, and space
巻: 69 ページ: 77