研究課題/領域番号 |
17H06204
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三代木 伸二 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (20302680)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | 重力波 / 単結晶シリコン / 結晶性薄膜 / 赤外線 |
研究実績の概要 |
平成30年11月、サファイア基材の研磨性能調査の過程で、当初の予想に反し、サファイア基材の研磨に関してより精密な研磨性能が必要であることが明らかとなった。研究遂行上、この高い性能を実現する高度な研磨技術の確立と保証を得るために、サファイア基材の研磨性能の検討を行ったうえで研磨性能調査を再開する必要が生じた。目標とする局所的表面粗さは1Å以下(目標0.5Å)、表面形状は理想平面・曲面に対しλ/50以下とした。表面形状を計測するためのZYGO装置や探針接触型表面形状測定装置を利用し、その後、表面性能が確認された。 一方、サファイの複屈折量が想定以上に大きいことも判明した。それにより、入射するレーザー光が直線偏光であった場合、その10%程度が、入射直線偏光と直行する成分に変換されてしまうことも判明した。将来の鏡基材としては、これも問題であるので、数社の製造メーカーを調査し、問題が解決しうる製造法があるかどうかの検討が必要となり、調査を行い、一部はサンプルを取り寄せ、性能評価とフィードバックを行ってきた。 結晶性薄膜コート鏡の作成の検討にもはいった。直径が1インチ程度の大きさであれば、その損失をppmレベルに抑制可能であることは判明したが、2インチまで大きくすると、ディフェクトなどの影響で、大面積領域では、薄膜形成時の損失増加により、期待される低損失性能が得られないことが判明した。研究遂行上、目的とする結晶性コーティング鏡は期待される低損失性能を有することが必要不可欠なため、このディフェクトの除去のさらなる除去のための方策について、検討が必要となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
サファイア基材やシリコン基材の研磨性能は満たせるようになったが、新たにサファイア基材の場合は、複屈折の大きさが問題になることが判明した。さらに結晶性薄膜も、現製法では、2インチレベルで、その大面識領域全般では、低損失性能が維持できないことも判明し、対策が必要となっているため。
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今後の研究の推進方策 |
基材に関しても、結晶性薄膜に関しても、メーカーと相談しながら、解決方法を模索していくこととする。
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