研究課題/領域番号 |
20K20286
|
配分区分 | 基金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三代木 伸二 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (20302680)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 重力波 / 結晶性薄膜 / 単結晶性シリコン / 第三世代重力波望遠鏡 |
研究実績の概要 |
令和元年12月、結晶性コーティング鏡の調達をしようとしたところ、 当初の想定に反し、薄膜形成時の損失増加により、期待される低損失性能が得られないことが判明した。研究遂行上、目的とする結晶性コーティング鏡には、低損失性能を有することが必要不可欠なため、コーティング膜の最適化のための結晶性コーティングの設計再討と再試行を追加して実施する必要が生じたため、この実験を継続して行っている。 並行して、表面散乱計測装置を改造し、より低いレベルの散乱計測可能なようにした。さらに、ZYGO波面計測装置を用い。グローバルな領域での表面研磨性能の評価を継続している。また、コーティング膜の損失評価のためのFP共振器の光学系の構築を行ってきた。 さらに、薄膜の機械的損失の計測のための実験装置のウェハ支持機構、ウェハ共振振動励起及び振動検出装置、及びそれらを格納する真空タンク一式を準備している。 しかし、COVI-19の影響により、海外メーカーによる資料作成が行えない状況となり、かつ、本実験を行っている場所への移動制限などが長く続いたため、上記準備作業、及び、実験装置構築作業に時間を要する状況となっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年11月、サファイア基材の研磨性能調査の過程で、当初の予想に反し、サファイア基材の研磨に関してより精密な研磨性能が必要であることが明らかとなった。研究遂行上、この高い性能を実現する高度な研磨技術の確立と保証を得るために、異種鏡機材の研磨性能の検討を行ったうえで研磨性能調査を再開する必要が生じている。 令和元年12月、結晶性コーティング鏡の調達をしようとしたところ、当初の想定に反し、薄膜形成時の損失増加により、期待される低損失性能が得られないことが判明した。研究遂行上、目的とする結晶性コーティング鏡は期待される低損失性能を有することが必要不可欠なため、コーティング膜の最適化のための結晶性コーティングの設計再検討 と再試行を追加して実施する必要が生じている。
さらに、令和元年度には、COVID-19による移動制限、入校制限などにより、実験そのものができない期間が発生している。
|
今後の研究の推進方策 |
AlGaAsのコーティングの機械的損失測定を行う。大口径ウェハ型シリコン基材(1mm 厚)のコート前後でのウェハの機械的Q 値(損失値φ の逆数)の比較から導く常套手段により行う。さらに、AlGaAs をコートし、コートされた表面散乱測定を、再度積分球を用いて行い、要請を満たしているかどうか確認する。この鏡で、FP 共振器を構成し、入射光学系や共振器長さを調節することで、ビーム径の調整を行い、リングダウン測定により、ビーム径による損失依存性の基礎データを収集し、AlGaAsのコーティングの性能評価を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、所属する機関での(用務での出張、イベントの開催等)を自粛する方針のため、成果の取りまとめに必要な薄膜評価実験の実施が困難となり、年度内に事業を完了することが困難となったため。薄膜評価実験に必要なさらなる資料の作成と評価実験に使用予定である。
|