研究課題/領域番号 |
17H06210
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
藤本 康孝 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (60313475)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | 電気機械エネルギー変換 / 高周波 / 電気機器 / モータ / ワイヤレス電力伝送 |
研究実績の概要 |
電気エネルギーと機械エネルギーの相互変換の基礎理論は、電束電流が無視できる数十kHz以下の低周波数帯域において概ね確立しており、その応用機器であるモータや発電機は我々の生活に必要不可欠のものとなっている。モータや発電機は主に磁気回路を構成する鉄心と起磁力を発生させる銅線からなるため軽量化が難しい。本研究では、電気-機械エネルギー変換の基礎理論を原理から見直し、数MHz~数GHzまで駆動周波数を高周波化した場合の相互エネルギー変換理論の確立とその実験検証を目的とする。これは電気-機械エネルギー変換の原理を高周波に拡張するものであると同時に、ワイヤレス電力伝送の原理を機械エネルギー変換も扱えるように拡張するものであり、低周波数帯域から高周波数帯域まで現象を統一的に扱う新しい電気-機械エネルギー変換工学を開拓し、鉄心や銅線を用いない超軽量なモータや発電機の実現を目指すものである。 3年目の2019年度は、理論モデルから導かれた共振周波数と有限要素解析による共振周波数の差異について検証を行った。併せて、実機の設計を行った。並行して、駆動周波数をGHz帯に高周波化したモータモデルの基礎検討を行った。エネルギー伝達に導波路を用いて、2次側に所望の回転電磁界を発生させる方法について有限要素解析により検討を行った。その結果、導波路開放面の近傍においては一定の回転電磁界が得られること、開放面からの距離によっては歪みが大きくなることが明らかになった。 以上の成果を、2件の国際会議論文(査読あり)として投稿し、採択された。1件は2019年5月に発表を行い、1件は2020年10月に発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年目である2019年度は、MHz帯モータモデルの理論モデルの修正と実機製作およびGHz帯高周波モータモデルの基本モデルの構築向けて研究を推進し、おおむね計画通りの進捗が見られた。 特に、これまでの共振周波数の推定モデルでは、1次側と2次側の自己インダクタンスが等しいという仮定をおいていたが、本研究で想定しているラジアルギャップ形モータでは1次側と2次側の自己インダクタンスが異なっているため、仮定の妥当性が課題となっていた。2019年度には1次側と2次側の自己インダクタンスが異なっている場合の共振周波数の推定モデルを導出することができた。また、巻線の線径とギャップ長がトルクと共振周波数に与える影響を解析し、最適な巻線線径を導出した。 以上から、当初の計画通りに研究が進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の令和2年度は、理論モデルから導かれた駆動周波数-トルク特性と有限要素解析による特性の差異について検証を進めるとともに、引き続き実機製作および整合器製作・実験検証を行う。並行して、駆動周波数をGHz帯に高周波化したモータモデルの製作を行う。エネルギー伝達に導波路を用いて、2次側に所望の回転電磁界を発生させ、力を発生させることができるか検証する。 研究協力者として大学院生2名の協力を得ながら研究を進めるとともに、進捗に応じて、IEEEの国際会議、電気学会に参加し、研究動向調査・資料収集、研究成果発表を行うとともに、ホームページやメディアに広く情報を発信する。
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