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2018 年度 実績報告書

海底の広域かつ詳細な観測を実現する次世代型AUV

研究課題

研究課題/領域番号 17H06218
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

巻 俊宏  東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (50505451)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2021-03-31
キーワードAUV / 自律制御 / サンゴ礁
研究実績の概要

本研究では、起伏のある海底を、画像観測に適した低高度かつ高速で追従できる新たな自律型海中ロボット(AUV)の形式を提案する。それはクルーズ型とホバリング型の特徴を併せ持つ形式であり、海底の詳細かつ広域な観測を実現する。また、低コスト性も重視する。
本年度は、昨年度に基礎を確立したスキャニングソーナーによる海底地形追従アルゴリズムを拡張するとともに、海域での実証試験を行った。
アルゴリズムの具体的な拡張内容として、座標軸の取り方の工夫により、海底面だけでなく、水槽の壁面やサンゴ礁、熱水チムニーなどの鉛直面を追従できるようにしたことが挙げられる。これにより観測ニーズの高いより複雑な環境への適用力を高めることができる。また、海底環境の変化に対応するため、機械学習アルゴリズムを導入した。センサの入力とスラスタ出力の関係を試行錯誤によって最適化するものであり、例えば海底が岩場から砂地に変化するなど、超音波の反射強度が大きく変わる場合も自動的に適したパラメータを獲得することができるようになる。これにより環境変化に対するロバスト性を向上させる。
海域試験は石垣島の石西礁湖にて実施した。実証用のAUV HATTORIを整備するとともに、本機に提案手法(機械学習を除く)を実装し、水深30~60m程度の海域で複数回の全自動観測を実施した。その結果、凹凸の激しいサンゴ礁に対して一定高度を保って航行することに成功し、AUVに搭載していた下向きカメラの映像から、サンゴ礁の3次元画像マップを生成することができた。これにより、本研究で提案したAUVの実海域における有効性を示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

AUV HATTORIの整備、水槽試験に加えて海域での実証試験を実施し、提案手法の有効性を示すことができたため。

今後の研究の推進方策

AUV HATTORIを用いた海域試験を積極的に進める。具体的には熱水噴出地帯(鹿児島湾若尊カルデラ)への展開を予定している。そして本結果をサンゴ礁での試験結果と比較することで、提案手法の環境に対する汎用性を評価する。
提案手法の更なる可能性を探るため、応用に力を入れる。特に海底の水産資源調査や磯焼け対策など、水産分野への応用を念頭におき、海底トラッキングだけでなく、観測結果のリアルタイム解析、またそれに基づく観測経路の動的生成など、発展的かつ実用性の高いアルゴリズムを組み合わせることを検討する。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] サウザンプトン大学(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      サウザンプトン大学
  • [雑誌論文] 自律型海中ロボット -魚のごとく-2019

    • 著者名/発表者名
      巻俊宏
    • 雑誌名

      人工知能

      巻: 34 ページ: 222-227

  • [雑誌論文] Low-altitude and High-speed Terrain Tracking Method for Lightweight AUVs2018

    • 著者名/発表者名
      T. Maki, Y. Noguchi, Y. Kuranaga, K. Masuda, T. Sakamaki, M. Humblet, and Y. Furushima
    • 雑誌名

      Journal of Robotics and Mechatronics

      巻: 30 ページ: 971-979

    • DOI

      10.20965/jrm.2018.p0971

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] AUV:自律型海中ロボット2018

    • 著者名/発表者名
      巻俊宏
    • 雑誌名

      日本機械学会誌

      巻: 12 ページ: 24-27

  • [学会発表] 小型無人プラットフォームによる海洋環境計測2018

    • 著者名/発表者名
      巻俊宏
    • 学会等名
      CSISシンポジウム2018 - ドローンを利用したフィールドサイエンス最前線 -
    • 招待講演
  • [学会発表] 海中で活躍するロボット技術の最新動向と今後の展望2018

    • 著者名/発表者名
      巻俊宏
    • 学会等名
      日本ロボット学会 第116回ロボット工学セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] 自律型海中ロボット(AUV)の開発2018

    • 著者名/発表者名
      巻俊宏
    • 学会等名
      SUBSEA TECH JAPAN 2018 併催セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] Autonomous Underwater Platform Systems2018

    • 著者名/発表者名
      巻俊宏
    • 学会等名
      The 5th UTokyo-SJTU-KAIST Joint Academic Symposium
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] AUVの最新事情2018

    • 著者名/発表者名
      巻俊宏
    • 学会等名
      海洋開発利用システム実現学寄付講座 第51回セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] Quaternion-based Attitude Control of a Low-cost AUV2018

    • 著者名/発表者名
      Y. Noguchi
    • 学会等名
      The 5th UTokyo-SJTU-KAIST Joint Academic Symposium
    • 国際学会
  • [学会発表] 低コスト高速AUV の3次元姿勢制御2018

    • 著者名/発表者名
      野口侑要, 堀本大洋, 巻俊宏
    • 学会等名
      ロボティクス・メカトロニクス講演会’ 18
  • [備考] 巻研究室HP

    • URL

      http://makilab.iis.u-tokyo.ac.jp/

URL: 

公開日: 2019-12-27   更新日: 2020-07-30  

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