研究実績の概要 |
本研究では、起伏のある海底を、画像観測に適した低高度かつ高速で追従できる新たな自律型海中ロボット(AUV)の形式を提案する。それはクルーズ型とホバリング型の特徴を併せ持つ形式であり、海底の詳細かつ広域な観測を実現する。また、低コスト性も重視する。
本年度は、当研究室の所有するテストベッドAUV HATTORIをベースに民間企業と共同開発したHATTORI2を鹿児島湾に展開し、海域での実証試験を行った。3日間の実験において基本的な性能を確認するとともに、今後の機能改善のためのデータを取得した。 昨年までの成果をとりまとめ、スキャニングソーナーによる海底追従手法について国際ジャーナルに投稿した。令和2年5月現在、オンライン公開されている(Y. Noguchi and T. Maki, Tracking Omnidirectional Surfaces using a Low-cost Autonomous Underwater Vehicle, IEEE Journal of Oceanic Engineering)。 また、AUV測位基点となる小型の自律移動ブイ(ASV: Autonomous Surface Vehilce)の開発を進めた。AUVや水中ロボットの運用においては、水中での測位が重要である。通常は船に音響測位装置を固定するが、この方法だと船ごとに取り付け治具を作る必要があり、また船の動揺やエンジン音の影響を受けるため、測位精度が安定しない。そこで、音響測位装置を装備した小型ASVを用いることで、これを解決することができ、低コストなAUV運用につながると期待される。本年度はフレームの設計製作、およびGPSによる位置制御プログラムを開発した。また、東京大学三崎臨海実験所にて海域試験を行い、基本的な動作を確認した。
|