本研究では、起伏のある海底を、画像観測に適した低高度かつ高速で追従できる新たな自律型海中ロボット(AUV)の形式を提案する。それはクルーズ型とホバリング型の特徴を併せ持つ形式であり、海底の詳細かつ広域な観測を実現する。また、低コスト性も重視する。 本年度はこれまでにAUV HATTORIを用いて取得したデータを用いて、後処理での高精度な海底画像マップの作成手法を開発した。映像データに加えてAUVの速度、深度等のナビゲーション情報を活用することで、既存アルゴリズムより高精度な海底3次元画像を生成できることを確認した。 またAUVの測位基準となる小型の自律移動ブイ(ASV: Autonomous Surface Vehicle)の制御アルゴリズムを開発し、試験機BUTTORIを用いた海域試験により、波や流れが存在する中で定点保持できること、そして海底に設置したターゲットをSSBLによって安定して測位できることを確認した。さらに神奈川県平塚沖の海域においてAUV HATTORIとの同時運用試験を行い、BUTTORIによりHATTORIの水中位置を計測できること、ASVを中継基地としてHATTORIと船上の間で双方向通信ができることを確認した。そして実際にHATTORIにより海底画像マッピングが可能であることを示した。さらに本システムを下田(静岡県)および加太(和歌山県)の2か所へ展開し、海底地形や流れ等の異なる環境における性能評価を行うともに、漁業資源調査への適用可能性を検討した。
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