研究課題/領域番号 |
17H06227
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木村 崇 九州大学, 理学研究院, 教授 (80360535)
|
研究分担者 |
松井 淳 九州大学, 理学研究院, 講師 (10274424)
大西 紘平 九州大学, 理学研究院, 助教 (30722293)
鴇田 昌之 九州大学, 理学研究院, 名誉教授 (80163963)
|
研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2023-03-31
|
キーワード | 反磁性 / 磁区構造 / ソフトマテリアル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高精度で形状制御されたナノ磁性体のスピンが創出する電磁場を用いて、革新的なソフトマテリアルの制御手法を開発することである。具体的には、磁性体表面上の水の濡れ性や対流などを通じて、ナノ磁性体中のスピンと流体が織りなす相互作用を定量的に明らかにし、同現象を各種液体やガス分子などの流体一般の制御技術へと高度化する。さらに、これらの系における量子力学的な相互作用をも引き出し、界面を介したスピン系と流体系の角運動量の受け渡し技術を開発する。流体とナノ磁性体との融合は、ソフトマテリアル系を活用したフレキシブル・スピントロニクスへの展開や特異な表面状態を反映した新量子物性現象など、これまで未開拓の新領域科学に切り込む格好の物質系である。加えて、スピン-動力の直接変換やマイクロ流体発電などの魅力的な工学的応用が期待できる。 三年目は、これまでに導入した微量液滴の接触角測定装置における、水滴の位置合わせ精度を向上させることに成功し、微細構造における水滴の接触角、及びそのダイナミクスに関して知見を得ることに成功した。その際、構造の大きさと水滴の量に関して、蒸発過程が変化する兆候が観測され、今後、それらの詳細を明らかにする予定である。また、本研究の主眼である磁性体からの磁場の効果であるが、磁性薄膜の有無により、蒸発過程に明確な違いがあることを見出しており、今後、測定装置に磁場印加機構を印加して、磁区構造と水滴のダイナミクス、及び水滴とスピンの相互作用を定量的に調べる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特別に注文した微量液滴の接触角測定装置に関して、問題点が克服され、系統的な実験をスピーディーに行うことができつつある。一方で、装置自体が一台しかないため、実施できる実験に制約があるため、限られた時間で優先順位をつけて行う必要があるが、これまでのところ、想定内の進捗で実験は進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
高速カメラによる解析から、微細構造のスケールと水滴量に関して、ダイナミクスが変化する閾値がある兆候が確認された。今後、これを実験的に明らかにし、数値計算との組み合わせから、起源の理論的解明を目指す。また、いち早く、磁場印加機構を追加して、フリンジ磁界のより詳細な影響を考察し、水滴制御技術へとつなげる。
|