膜のないオルガネラとしての液滴は、液-液相分離によって誘導される。この新しい細胞内生命原理は、これまでの膜のあるオルガネラを中心とした学問では説明が難しかった現象を説明しうる新しい生物学として発展しようとしている。我々が長年研究を続けてきたp53誘導性タンパク質Mieapはミトコンドリアに液滴の形成を誘導することが明らかとなった。このMieap液滴は非膜オルガネラとしてミトコンドリアに特異的な脂質であるカルジオリピンの代謝反応を制御することで、ミトコンドリアの健常性維持に重要な役割を果たす。それによって、がん・認知症・老化などの病態から我々の健康を守ってくれている可能性がある。
|