研究課題
本研究課題では、新しい人工内耳技術と蝸牛神経再生技術を融合させ、高度難聴者に対する新規難聴治療法を開発するための基礎研究をその目的とする。そのために、以下の研究計画を作成した。1)高度感音難聴患者の病態を模した難聴動物モデル動物を作成する。2)移植細胞のソースとなる蝸牛神経前駆細胞をヒトiPS細胞から誘導する。3)ヒトiPS細胞由来聴神経と人工内耳、あるいは中枢の蝸牛神経核との結合をin vitroで検証する。4)難聴動物モデルに細胞移植+人工内耳同時手術を行い、蝸牛神経再生の確認、聴覚機能再生を図る。5)移植細胞にチャンネルロドプシン遺伝子を導入し、人工内耳からの刺激を電気ではなく、光によって行い、その刺激で移植された蝸牛神経細胞を興奮させ、よりシャープな刺激が可能か、より良好な聴力が得られるかを検証する。平成29年度から令和2年度にかけ、1)難聴モデル動物の作製は完成。2)移植細胞のソースとなる蝸牛神経前駆細胞をヒトiPS細胞から誘導する研究も完成した。3)「ヒトiPS細胞由来聴神経と人工内耳、あるいは中枢の蝸牛神経核との結合をin vitroで検証する」に関しては、まだ検証中である。4)「難聴動物モデルに細胞移植+人工内耳同時手術を行い、蝸牛神経再生の確認、聴覚機能再生を図る」に関しては、難聴動物モデルの内耳にヒトiPS細胞由来聴神経前駆細胞を移植し、蝸牛神経の再生を確認し、一部聴覚が回復することも確認した。5)「移植細胞にチャンネルロドプシン遺伝子を導入し、人工内耳からの刺激を電気ではなく、光によって行い、その刺激で移植された蝸牛神経細胞を興奮させ、よりシャープな刺激が可能か、より良好な聴力が得られるかを検証する」に関しては、まず、移植細胞にチャンネルロドプシン遺伝子を導入することに成功した。それらの細胞に対し、十分な光刺激を行える装置を確立することができた。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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