研究課題
神経障害性疼痛は、高齢者をはじめ多くの人々が経験し、低気圧や寒冷曝露で誘発されることが多い。近年、原因として脊髄後根神経節でのNav1.9ナトリウムチャネルの発現増加が原因となることが明らかになってきた。我々は、家族性で、気象の変化で誘発される神経疼痛を発症する7家系の患者を遺伝子解析し、Nav1.9 (遺伝子名SCN11A) の遺伝子異常を通じて、 細胞膜表面での発現が環境温度に依存することを見出した。本研究の目的は、温度依存性Nav1.9の発現に着目し、そのメカニズムの詳細を明らかにすることである。小児四肢疼痛発作症の原因遺伝子として同定したScn11a p.R222S変異マウスを用い、気候変動として寒冷による疼痛行動変化の検証を行った。野生型マウスと比較して、低温処置後のScn11a変異マウス(p.R222S)は機械刺激性アロディニアを一過的に示した。一方で、低温処置による炎症の生化学的・器質的な徴候は認められなかった。このモデル動物に漢方製剤である牛車腎気丸を投与し、疼痛の抑制が確認できた。Scn11a p.R222S変異マウスを用い、気候変動として気圧による疼痛行動変化の検証を行い、50hPaまでの減圧による行動を観察し、野生型マウスに比べて変異型マウスでの行動が抑制される傾向が示された。これについて、患者での疼痛発作での検証を行うため、疼痛発作についての記録を取得することを計画した。協力同意を得られた患者について、冬季(12月から翌3月)の期間、疼痛の発生した日時を記録を依頼した。得られたデータは時系列データとしてデータセットを固定した。気象データを利用して統計解析を実施する基礎となった。患者の居住地に近接する気象台のデータを確認し、温度、気圧などが当該期間について得られることを確認し、ダウンロードして統合データセットにした。
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http://hi.med.kyoto-u.ac.jp/setsuritsu.html