研究課題/領域番号 |
20K20309
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
早川 和一 金沢大学, その他部局等, 名誉教授 (40115267)
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研究分担者 |
中村 裕之 金沢大学, 医学系, 教授 (30231476)
鳥羽 陽 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (50313680)
長門 豪 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (50793832)
唐 寧 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (90372490)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 多環芳香族炭化水素 / ニトロ多環芳香族炭化水素 / 大気汚染 / ぜん息 / アトピー性咳嗽 |
研究実績の概要 |
① 大気粉塵,PAH, NPAHの発生源解析法(NP-method)を完成し,環日本海域(日本,中国,ロシア,韓国)都市で1997年から継続中の大気中TSP, PAH,NPAH測定結果に適用し,次の結果を得た。1) 中国華北やロシア極東の都市の冬のPAHと燃焼粉塵(Pc)の著しい濃度上昇は石炭暖房が原因であること,2) 日本の商業都市のPAH,NPAH,Pcの主要排出源は自動車で,濃度は上述都市より遥かに低く, 2000年以降の著しい低下が自動車排ガス対策の成果であること,3) 日本でも製鉄都市の主要排出源は石炭燃焼コークス炉であるが,濃度が上述の商業都市並みに低いことは排煙対策の効果と推定されること,などを明らかにした。特性が従来法を凌ぐことから,特許申請中の本法を国際特許申請に拡大出願した。 ② 福江島,福岡市,能登半島,金沢市で2年間同時捕集した大気粉塵のPAH,NPAHを分析,NP-methodを適用して次の結果を得た。1) PAH,NPAH,Pc濃度の経日変化は地点間の相関性が乏しいが、毎月の平均濃度推移には強い相関があり,PM2.5やSPMとは全く異なること,2) PAH,NPAH,Pcの濃度の季節変化は4地点共通の広域的気象条件に依存するが,毎日の濃度変は発生源状況や地域的気象条件の影響を受けること,3) 福江島と福岡市間,能登半島と金沢市間の濃度差は比較的小さく,特に冬は都市でも長距離輸送の寄与が相対的に無視できないことなど,慢性咳嗽疾患の増悪因子に関する重要事実を明らかした。 ③ 水酸化PAHの中で抗エストロゲン作用(in vitro)が最も強いことを見出した3-水酸化ベンゾ[c]フェナンスレンをメダカと金魚に曝露した結果,PAH体より遥かに強い鱗の成長抑制が観察され,水酸化体が毒性本体であることを見出した。
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