研究課題
以下の研究実施計画1)~3)に基づいて研究を行った。研究計画1)マウス生体内細胞老化の解析:マウス生体内での老化細胞の出現頻度を組織毎に定量解析するため、新規の細胞老化マーカーの同定を目的に、ヒト由来線維芽細胞に異なる線量率でガンマ線の持続照射を行うことで異なる程度(頻度)の細胞老化を誘導し、それらの細胞からmRNAを抽出、RNA-seqを行い、遺伝子発現プロファイルの解析を行った。取得したRNA-seqデータについては、引き続き次年度に解析を行う。研究計画2)老化細胞SASP制御マウスの開発:放射線照射したヒト由来線維芽細胞及び血管内皮初代培養細胞を用いて、Cytometric Bead Array 法による老化細胞に特異的なSASP因子の高感度定量解析法を確立した。持続照射された培養細胞を用いて、老化形質を発現した細胞に特異的に発現するSASP因子のプロファイリングを行った。また、生体内の老化細胞においてSASPの制御を行う主な因子としてクロマチン制御因子の一つを候補に決定した。候補として絞り込んだクロマチン制御因子の発現を人為的に制御できるヒト培養細胞株樹立の検討を行った。研究計画3)持続放射線照射環境での老化抵抗性マウスの開発:各組織の老化形態及び細胞老化が解析できる実験系の開発を試みるため、マウスの放射線持続照射実験を開始した。また、加齢マウスを用いて、組織における老化形態の解析を試みた。
2: おおむね順調に進展している
研究計画はおおむね当初の予定通りに進んでいる。培養細胞を用いたSASP因子の高感度検出法が開発できたことにより、持続照射による老化細胞のSASP因子の簡便且つ高感度のプロファイリングが可能となった。SASP制御を可能とする上流因子の候補を絞り込み、その遺伝子発現制御細胞やマウスの開発の検討及び作製準備を始めた。早期に、SASP制御が可能な細胞やマウスの開発ができることが期待される。一方、生体内での老化細胞の検出法に関しては、次年度も引き続き検討する必要がある。
研究はおおむね順調に進展しており、次年度は、引き続き研究実施計画に沿って研究を推進する。マウス個体組織における新たな老化マーカーの探索、SASP制御候補因子の発現制御細胞やマウスの開発に向けて研究を遂行する。現時点で、生体内での老化細胞の検出系の開発が課題であるものの、RNA-seqやSASP因子のプロファイリングデータをより解析し、新規の指標を用いた老化細胞の検出系の開発を引き続き試みる。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 3件)
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