研究課題
本研究テーマでは,微小サイズの細胞の立体構造の構築について,実際の細胞折り紙による実験を通じて理論モデルを構築し,細胞にとっての折りやすさを評価することが目的であった.特に代表的な立体構造として立方体を軸に据え,いくつかの条件において細胞での折りの実験を行った.こうした実験結果を踏まえ,かつ物理的な制約を考慮した妥当な「折り安さの指標」を与えるモデルの候補をいくつか考案した.北海道における大規模な地震とその結果の長期停電による実験中の細胞の死滅と,COVID-19による研究の遅延の発生により,若干の計画変更を余儀なくされたものの,実際の実験データと考案した理論モデルの間の妥当性については現在検証を進めており,今後論文として公表する準備を進めている.特に数理的な側面から,物理的な制約を取り入れた理論モデルをある程度構築できたことが本研究の最大の意義であると考えられる.今後の細胞折り紙の発展にあたっては,今回得られた理論モデルが議論や研究の基礎となると予想され,例えばコンピュータを用いた計算による事前の予想によって,より細胞にとって折りやすい展開図のみを用いた細胞折り紙の実験を行うなど,実験の効率化に大きく貢献できると考えられる.本研究で微小サイズの立体を細胞で折るという問題については,ある程度の理論的枠組の構築が完成した.今後は立方体以外の立体を用いた細胞折り紙を研究し,特に,より大きな構造体を組み立てるための基本ブロックを細胞で折るというテーマに発展的につなげることができた.特に基本ブロックがずれないようにするための構造については,すでに考察を終えており,今後はより実験を中心とした工学的手法を検討する方向性を模索している.
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件)
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