研究課題/領域番号 |
17H06292
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
中内 茂樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00252320)
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研究分担者 |
南 哲人 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, 准教授 (70415842)
東 広志 京都大学, 情報学研究科, 助教 (70734474)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | グレア / 瞳孔反応 / 光感受性障害 |
研究実績の概要 |
昨年度、色が異なる等輝度グレア刺激に対する瞳孔反応と主観的な明るさを計測し、特に青グレアの場合に瞳孔反応も、また主観的な明るさもその効果が大きいことを発見した。今年度はこの青色特異性を生態学的な理由によって説明しようと試みた。青空における太陽光のように、青色グレアが高輝度で危険な光源を生態学的に共起した結果として、目を防御するために瞳孔が特に大きな縮瞳を示すものとすれば、青色特異性は環境による太陽光量の違いによって異なる可能性がある。網膜にある黄斑色素も強い入射光から守るためにあると考えられており、その濃度は虹彩の色と相関する(暗い虹彩色を有する被験者は黄斑色素の濃度が高い)ことが知られている。こうした仮説を検証するため、様々な虹彩の色を持つ被験者を対象に色グレア刺激に対する瞳孔反応を計測し、緯度の高い地域に多い明るい虹彩色(青や淡褐色)の被験者には青色特異性が見られず、暗い黒や茶色の虹彩の被験者特有の現象であり、極めて長期間の適応現象として青色グレアに対する特異性を説明できることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
青いグレア錯視に対する大きな瞳孔収縮を生態学的に説明する仮説を検証するために、異なる虹彩色を持つ被験者に対してグレア刺激に対する瞳孔反応計測を行い、青グレアに見られる特異的な瞳孔収縮は、黒や茶といった暗い虹彩色の被験者のみで生ずることを示した。こうした異なる虹彩色における瞳孔反応は、例えば太陽光のような危険な高輝度光源への防御反応として視覚神経系に埋め込まれている可能性を示唆するものであり、網膜に投射する青色光をフィルタリングする黄斑色素の機能と同様、瞳孔収縮も均一な環境への適応のマーカーとしての役割を果たす可能性を示すものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
青グレアに限らず、視覚系の長期適応の存在を示唆する現象は他にも存在することから、さらにデータを積み重ねていく予定である。また、グレア刺激の自己発光感(眩しさ)と瞳孔反応や脳波成分の関係についてもさらに検討を重ね、背後にある明るさ知覚、自己発光感、さらには瞳孔反応の自己防衛的な性質を明らかにする予定である。
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