研究課題/領域番号 |
18H05306
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
村田 泰輔 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 研究員 (00741109)
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研究分担者 |
関口 洋美 東海大学, 課程資格教育センター, 准教授 (70435379)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2024-03-31
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キーワード | 災害考古学 / 災害科学 / 第四紀学 |
研究実績の概要 |
本研究は2018年度から計5カ年の採択を受けた2年目にあたる。課題とする「災害履歴検索地図」の開発は、平成27年挑戦的萌芽研究(課題番号:15617141)で開発した「災害履歴地図」について新たに1)歴史地図や絵図といった古地理情報、2)大字や小字といった地名や緯度経度等の地点情報の導入、さらに3)災害痕跡種、地点、地域、時間軸、距離軸で災害履歴情報を検索できる検索システムの導入をGIS型データベース上に行い、地震や火山噴火の発生予測に向けた過去の災害実像解明のための「災害履歴検索地図」の発展的な開発を目的としている。その中で、本年度は1)2)にあたる古地名情報の集成と、データベース化を進めた。具体的には畿内、東海道を中心に、古代都城周辺、古代官道周辺の駅家、官衙、寺院に関わる発掘調査や史料研究などの成果から、地名、道標などの位置情報を集成し、国土地理院の数値地図データベースから緯度経度情報を収集し、データベース化する作業を進めている。古代官道に関わる情報については、近江(2008)、大橋(2020)、木下(2013)、古代交通研究会編(2004)等を用いた。また奈良文化財研究所が編さんする古代寺院遺跡データベース、地方官衙関係遺跡データベースについても併せて情報の集成をおこなった。 近江俊秀『道路誕生―考古学からみた道づくり』青木書店、2008年。 大橋泰夫『古代日本における国郡制形成に関する考古学的研究(課題番号16K03156)』基盤研究(C)研究成果報告、2020年 。 木下良『日本古代道路の復原的研究』吉川弘文館、2013年。 古代交通研究会、『日本古代道路辞典』八木書店、2004年。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は2018年度からスタートし、2019年度は2年目を迎えた。2018年度におこなったデータベース項目や構造の整備、新たな検索システムの導入、古地理図や絵図などの画像情報を保存できるシステムの構築の更新により、2019年度は古代地名を中心とした古地名の位置情報の蓄積が大きく進めることが可能となった。このことにより、現代地図上に歴史的なランドマークを設定することができるようになり、発掘調査や歴史資料情報の位置関係がとらえやすくなり始めたことは、本研究において大きな進捗といえる。加えて、今年度はデータベースの検索結果表示画面の構成、表示内容、さらにその視覚的効果についてアンケート調査を実施した。この調査についてはさらにデータを蓄積する必要があり、来年度も継続的に調査を行う予定であるが、地図の配色効果、災害痕跡の表示標識の開発、災害データ群の表示方式など重要な知見が得られた。これらを検索システムの拡充に反映させ、さらなる開発を進めたい。これらの結果、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は奈良県を中心に古代地名や大字、小字など地名情報に位置情報を反映させる作業を2019年度に引き続き進めると共に、遺跡情報や主に発掘調査に伴って発見される災害痕跡情報のデータベース化を進めていく。さらに2019年度に行ったデータベースの表示効果に係るアンケート調査の成果を反映しGIS型検索システムの拡充を進め、研究科課題の一つである災害痕跡種、地点、地域、時間軸、距離軸で災害履歴情報を検索できるシステムの試作開発を継続的に行う。
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