研究課題/領域番号 |
20K20328
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久保田 尚之 北海道大学, 理学研究院, 特任准教授 (40359211)
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研究分担者 |
財城 真寿美 成蹊大学, 経済学部, 教授 (50534054)
塚原 東吾 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (80266353)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | データレスキュー / 外国船 / 航海日誌 / 気象データ / 台風 |
研究実績の概要 |
1877-2019年に日本に上陸した台風の長期変動を明らかにし、アメリカペリー艦隊とイギリス海軍の航海日誌の気象データを復元してデジタル化し、江戸時代末期の1853年7月と薩英戦争時の1863年8月の台風を明らかにした論文が出版され、プレス発表を行った。世界で14社に取り上げられ成果が紹介された。作成した日本に上陸した台風のデータセットは日亜気候データ計画のホームページより公開した。イギリス気象庁とイギリス公文書館で入手した1870年代の20航海の航海日誌の気象データをデジタル化した。また、研究分担者の塚原が入手したオランダ海軍の航海日誌から1864年9月の台風が明らかにした。 オランダ・ハーグの文書館で発見した航海日誌をライデン大学の研究協力者(Drs. A. de Jong )からの助言を受けつつ、位置情報、気象観測記録などのデジタル化を進めた。また同時に,欄外記載のメタ・データの解読も行っており、台風など、特異な気象現象が生起した時の記録を特に細かく検証している。コロナ禍のため、オランダでの調査・研究には支障が生じたが、国内でできる範囲で、下関市立博物館,広島江波山気象館・和歌山地方気象台などの所蔵資料も調査し有益な情報を入手している。 気象観測点の移転によって生じるデータ間の不均質性に関連して、天気や地理的な条件(標高や隔海度)によって、気温の日変化パターンにどのような差異があるのか,1951年の官署移転の際に並行観測が行われた長崎について、主成分分析を使用した事例解析を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析に必要な江戸時代末期のアメリカ、イギリス、オランダ海軍の航海日誌のデジタル化は順調に進んでいる。1877-2019年に日本に上陸した台風の長期変動を明らかにし、アメリカペリー艦隊とイギリス海軍の航海日誌の気象データを復元してデジタル化し、江戸時代末期の1853年7月と薩英戦争時の1863年8月の台風を明らかにした論文が出版され、プレス発表を行った。コロナの影響で海外調査ができない分を補っている。
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今後の研究の推進方策 |
日本での気象観測が少なくなる1877年以前について、それを補うために外国船の航海日誌を入手し、気象データのデジタル化を行う。引き続きイギリス気象庁とイギリス公文書館で入手した1877年以前の航海日誌の気象データのデジタル化を進め、気象データから明らかとなっていない台風を調査する。 気象データだけでなく、これまで収集した資料のエクセルへのデジタイズ、また備考欄のワードへの文字起こしなどが終わったものについて、より詳しく検討してゆく。中でも特異な気象(台風など)が知られる期間の前後の記録を詳しく検討し、気象学的な解析については共同研究者の助言に俟つところが多いが、その周辺でのメタデータの調査に力を入れてみる。新たな資料についても、コロナの状況にも依るし、またオランダ(滞在中)の協力者などの助力に恃むところが多いが、調査の進展を期待する。 また、前年度の結果をふまえて,19世紀後半に日本各地の灯台にて観測された気温データについて均質化を行い、台風接近・通過時の気温の変化や空間分布の特徴について解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で海外調査ができなかったため、執行できなかった費用が多く生じた。
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