研究課題
江戸時代末期の外国船の航海日誌、1853-1854年のペリー艦隊のUSS Susquehannaと1862-1864年のイギリス海軍のHMS Centaur、1856年のオランダ海軍のMedusa号の航海日誌の気象データをデジタル化した。オランダの公文書館に所蔵されているオランダ海軍の航海日誌の調査を継続した。日本の灯台気象観測記録の1883年1月~3月と(40地点)と1884年9月~12月(43地点)をデジタル化した。江戸時代から明治初期の気象データである1865年の厚岸の池田家文書、1896年の山口の長府の毛利元敏の記録、1876-1877年の札幌農学校の記録を収集し、デジタル化を開始した。加賀藩の1864年の発機丸と1860年の咸臨丸の航海日誌の資料を収集した。1856年9月23-24日に東京近郊を通過した安政江戸台風通過時の気象データを初めて入手した。解析の結果安政江戸台風の関東上陸時の大きさは1000hPa半径が359kmとわかり、近年似た経路を通った2019年東日本台風と比較して約半分の大きさだったことがわかった。灯台気象観測記録と気象庁の気温データの均質性検討は、東京、下関に加えて、長崎(伊王島)、函館灯台について近隣のJMA官署データ(1901-1930年)との比較を行った。2地点について,季節変化はJMA官署データと類似しているが、内陸にあるJMA官署データのほうが,夏季は高温,冬季は低温傾向にあることが分かった。これは、先に検討した東京・下関も同様であり、灯台の気温データは,より海洋の影響を受けていることが推測できる。気象研究所による150年気候再解析実験にこれまで収集し、デジタル化したアメリカ・イギリス・オランダ海軍の航海日誌の気象データと灯台気象観測記録データ(1877~1882年分)を提供した。
2: おおむね順調に進展している
オランダ公文書館に保管されているオランダ海軍の航海日誌の収集と記載された気象データのデジタル化を、現地の研究協力者とともに再開することができた。江戸時代の未解明の台風である安政江戸台風について、航海日誌の気象データに基づいた解析が実現し、新たな知見が得られたため。
イギリスとオランドの研究協力者の協力でイギリス、オランダ、アメリカ海軍の江戸時代の航海日誌の収集を継続する。江戸時代末期から明治初期の日本での気象観測記録が見つかっており、継続してデジタル化と解析を進める。さらに、デジタル化が完了している灯台全地点について、品質管理を完了し、19世紀末の日本の気温分布図を作成し、その特徴を考察する。近隣に気象庁官署が存在する灯台データについては、均質化を行い、気温の長期変動を考察する。外国船の航海日誌の気象データで明らかになった台風についてまとめた論文の執筆を進める。
コロナにより海外出張ができなかったため、海外出張を伴う研究計画を次年度に持ち越したため。
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