研究課題
18世紀後半から19世紀後半にかけて日本近海を航行した欧米の探検航海、アメリカ・イギリス・オランダ海軍の航海日誌を収集し、記載された気象データを用いて、日本近海を通過した台風の経路や大きさを明らかにし、論文にまとめて出版した。江戸時代の外国船の中でもオランダ船に残された気象データの調査・復元を試みた。そのプロセスで、オランダ国立文書館(ハーグ)に、オランダ海軍の艦艇の航海日誌のデジタイズなどをオランダの協力者とともに行ない、これらをデータベースとして公開するための準備を進めている。また関係のオランダ船、もしくはオランダで建造され日本に寄贈・売却された蒸気船についての資料調査や、オランダ海軍の気象観測のためのプロトコールなどを調査・検討した。19世紀末の日本および周辺地域の気候の特徴を解明するための気象データの一つとして、日本の沿岸部の灯台で観測された気象記録のデジタル化を行った。デジタル化対象期間は1885年1月~6月(40~43地点で月により変動)であった。同時に,江戸幕末期にあたる1850~60年代の日本周辺地域における気候の特徴について、関連する文献資料の収集を行い、既存の気象データの整備を行った。古日記天候記録から推定した気温や古気象観測記録から、江戸幕末期にあたる1850~60年代の夏季はその前後の年代に比べて高温傾向であったことを確認した。特に1853年(夏)が高温年,一方で1869年(夏)は低温年であった。さらに、20世紀再解析データで当時の日本周辺の温度分布偏差を確認したところ、1853年夏季に同様の傾向が認められた。
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Earth and Space Science
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