本年度は、高等教育進学機会の都道府県格差、各地域の人口社会減、UIターン促進の自治体の動きなど、最新の研究動向を把握するため学会等で、研究の現状を情報収集した。これと並行して、全国の地方の若年層人口流出の実情を聞き取るために、訪問調査を行った。とりわけ島根県と島根大学については、資料収集のために複数回訪問した。またアメリカのカリフォルニア州の日系人の進学行動において、どのような先行研究があるかも調べた。 すでに手元に得られているインタビューデータを整理し分析を開始したほか、旧史料を公開可能なかたちに整えた。 全国の地方県における進学校からの大学進学の実情を調べるために量的調査を設計計画した。そのうえで愛媛県、高知県、島根県、岩手県、石川県、福井県を訪問し各地域の課題を聴取した。様々な調整を経て、平成30年12月には、調査協力の意向を得られた全国22校、3700名の高校3年生の進学と地域移動について、教室配票質問紙調査を実施した。調査データはただちに集計を開始しているが、年度内には結果は整理することができなかった。この量的データは、この先5年間の追跡の基盤データとなる。計画では、進学・就職を経た6年後に調査票を対象者に返送し、実際の人生の経過についての調査への回答を依頼することを考えている。 他方で、『学歴社会のローカル・トラック』という20年前の研究のデータとなったインタビュー調査対象者に連絡を取り、現在どのように生活されているかということを確認することに着手した。追跡調査に協力していただけるかどうかを慎重に聞き取るための準備を開始している。
|