研究課題/領域番号 |
20K20336
|
配分区分 | 基金 |
研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
小川 有閑 大正大学, 地域構想研究所, 研究員 (20751829)
|
研究分担者 |
岡村 毅 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 専門副部長 (10463845)
林田 康順 大正大学, 仏教学部, 教授 (50384681)
宇良 千秋 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (60415495)
新名 正弥 田園調布学園大学, 人間福祉学部, 准教授 (70312288)
高瀬 顕功 大正大学, 地域構想研究所, 専任講師 (90751850)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 宗教の社会貢献 / 地域包括ケアシステム / 認知症ケア / 高齢者ケア / スピリチュアルケア / 仏教者の社会的責任 / FBO |
研究実績の概要 |
2020年度は主に以下の研究を進めた。 ①前年度までに調査・収集した月参りの実態について、地域包括ケアシステムとの接続可能性という観点から分析を進めた。全国の分布状況の地図データ化、インタビュー調査の分析についての口頭発表・論文化等、アウトプットを行った。 ②前年度に実施した関東地方某地域の高齢者福祉施設のケア従事者に対するアンケート調査の結果分析を進めた。多くのスタッフが入所者から「死にたい」「生きていても意味が無い」といった言葉をよく聞くということ、看取り介護に積極的に関わりたいという職員の割合が高いこと、また、過半数のスタッフの精神的健康状態が不良であったことが明らかとなった。一方で、精神的健康状態を良好にする要因として、職場の人間関係や看取りケアへの積極的姿勢があることが抽出でき、スタッフのバーンアウト予防の提案を協力施設にすることができた。 ③寺院での介護者カフェを推進する浄土宗総合研究所の「超高齢化社会における浄土宗寺院の可能性」プロジェクトと協働し、介護者カフェを実施する寺院住職へのインタビューを実施、分析を行った。介護者カフェを通じて介護者の悩みを聞くことによって、宗教者の宗教性が深化することや超高齢社会のなかで寺院・仏教が介護者の苦しみを和らげる力を持つことなどを明らかにした。 ④新型コロナウイルスが寺院・葬送儀礼に及ぼす影響についてウェブ調査を実施した。2020年5月、12月に2回実施し、多くの寺院が葬送儀礼の規模縮小、中止・延期といった影響を受けていることが明らかになり、特に首都圏で影響が大きくみられることを指摘した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①月参り調査については、新型コロナウイルスの感染拡大にともない現地でのインタビュー調査を行うことができなかったため、計画変更を余儀なくされた。 ②2020年度から高齢者福祉施設での介入調査を計画していたが、新型コロナウイルスの感染拡大のため計画変更を余儀なくされた。 ③寺院での介護者カフェの参加者へのアンケート・インタビュー調査を計画していたが、新型コロナウイルスの感染拡大のため、ほとんどのカフェの開催が中止となり、計画変更を余儀なくされた。 ④新型コロナウイルスが寺院・葬送儀礼に及ぼす影響についてのウェブ調査は、2020年度に入り新たに計画されたものであったが、一定の成果を得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を踏まえて、以下の研究を進める予定である。 ①月参りの実施状況を正確に把握するため、特定のエリアに絞ってアンケート調査を実施する。浄土宗の大阪教区から調査協力の約束を得られており、所属の約480ケ寺を対象に調査を行う。 ②新潟県上越地域の高齢者福祉施設のケアスタッフにアンケート調査を実施し、2019年度に実施した神奈川県での調査結果との比較を行う。また、2019年度の調査結果分析をさらに深める。 ③寺院での介護者カフェが再開された場合には、カフェ参加者へのアンケート調査を実施する。 ⑤新型コロナウイルスが寺院に及ぼす影響のウェブ調査(3回目)を実施する。また、1回・2回の調査で、葬送儀礼の簡素化の進展が全国的に見られたが、そもそも葬送儀礼の簡素化はネガティブな傾向なのか否かを評価するには、エビデンスに基づいた葬送儀礼の社会的機能の研究成果が乏しいことから、従来の葬送儀礼が有した機能についてアンケート調査を実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大にともない、国際学会の中止、国内遠方の現地調査・介入調査が困難となり、国内外の出張がほぼ不可能となったことが最も大きな要因である。 2021年度は新たな研究課題も設定し、繰越助成金が発生しないよう研究を進める予定である。しかし、新型コロナウイルスの感染状況次第では、研究スケジュールの再考の可能性もありえる。
|