研究課題/領域番号 |
18H05320
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三輪 和久 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (90219832)
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研究分担者 |
鈴木 達也 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50235967)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 認知アーキテクチャ / 認知モデル / 行動モデル |
研究実績の概要 |
ドライバーの認知モデルを、認知アーキテクチャを用いて実現された。認知アーキテクチャとは、人間の認知メカニズムに基づいて構築された計算機プラットフォームであり、人間の認知プロセスを、計算可能なレベルで実装するための計算機フレームワークである。本研究では、高次認知の領域で、もっとも成功を収めている認知アーキテクチャであるACT-Rを用いた。ACT-Rを用いることにより、知覚、記憶、注意、意志決定、操作行動など、人間の多様な認知プロセスを統合したシミュレーションが可能になった。 当該年度では、高速道路での合流場面を取り上げ、本線側、侵入側の2車の間で、前にでるか(L: Lead)、後ろに回るか(F: Follow)のネゴシエーションが発生する状況を扱った。LかFかは、意志決定関数f(x)[xは両車間の距離]によって確率的に決定する。モデルに、他車の意図推定を行うモジュールを組み込むことで、他車の行動予測を踏まえて、よりスムーズに合流が行える状況を設定した。リアルタイムゲーム開発環境のUnityとACT-Rを接続するインタフェースを開発し、Unityの環境の上で、ACT-RがUnity上の自動車を運転できる状況を構築した。その上で、進入車線、本車線にある2台の自動車が、ネゴシエーションを通して合流するシミュレーションを実施し、様々な状況における運転行動データを取得した。特に、2車のドライバの運転特性に関して、様々な仮説的状況を設定し、両者の組み合わせを操作したシミュレーションを実施した。特に、意図推定のメカニズムが、合流場面において、どのように機能するのかを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自動車ドライバの運転モデルの構築が本研究遂行の鍵となるが、ここまでにモデルを実装し、シミュレーションの結果を分析した結果、概ね満足できる成果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度取得した行動データに加え、さらに、視線データ、認知プロセスデータを取得し、詳細な分析を行い、モデルの精緻化を行う。加えて、来年度からはドライビングシミュレータ(DS)を用いた人間を対象とした実験を行う。シミュレーションデータとDSを用いた実験データを対比的に検討することで、モデルの妥当性を確証する。
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