研究課題/領域番号 |
20K20339
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三輪 和久 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (90219832)
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研究分担者 |
鈴木 達也 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50235967)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 認知アーキテクチャ / 認知モデル / 行動モデル / ドライビングシミュレータ |
研究実績の概要 |
前年度に開発したACT-Rモデルの妥当性を検証するために、ドライビングシミュレータを用いた実験を行った。実験には、自動車運転免許を持つ24名が実験に参加した。 実験では、本車線と合流車線の2車線から成る道路を、参加者が運転する車と、自車の隣車線を自動走行する車の2台が走行する状況下で、参加者は次の2つの合流場面に取り組んだ。ひとつは、合流車線で自車を運転し、本車線を走行する他車を考慮しつつ、本車線に合流させるという場面だった。もうひとつは、本車線で自車を運転し、合流車線から合流してくる他車を合流させるという場面だった。 実験では、他車の印象を操作するため、参加者を無作為にAggressive条件かCautious条件に振り分け、以下のように教示と試行を追加した。Aggressive (Cautious) 条件では、実験実施前に、「これからあなたが運転するのは、飛ばし屋 (のんびり屋) が多く利用する道路です」など、道路利用者に関する情報を教示した。 その結果、参加者が本車線で運転する場合、他車に対して抱いた印象がAggressiveであるか、Cautiousであるかに関わらず、他車に対する印象は、自車のLead確率に影響しなかった。一方、参加者が合流車線で運転する場合、特定の状況に限り、他車に対する印象が自車のLead確率に影響した。具体的には、他車に対してCautiousな印象を抱いた場合、その印象は、自車のLead確率に影響しなかった。しかし、他車に対してAggressiveな印象を抱いた場合、その印象を考慮して合流の意思決定を行うことが明らかとなった。具体的には、他車に対してAggressiveな印象を抱いたとき、他車の印象を操作されなかったときと比べて、自車のLead確率が有意に低かった。 これらの成果を踏まえて、現在、論文投稿の準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ渦の状況において、当初予定していた人間参加者を対象にした実験が、思うように実施できなかった。DS実験においては、密をさけるために、集団実験をさけ、個別実験のみを実施した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果を踏まえて、論文投稿を完了する。 モデルベースシミュレーションと人間を対象とした実験の対比に基づく検討を加速させる。コロナ渦の状況を考慮しつつ、次年度は、個別実験に加え、集団実験も並行して行いたい。 また、研究を進める中で、いくつかの新たな問題意識が立ち上がってきた。例えば、他者に対する思いやりの度合いが運転行動に与える影響や、近年着目されているShard Spaceなど、より自由度の高い共有場における、複数車両のインタラクションなどの問題にも取り組んでゆきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦の状況において、当初予定していた人間参加者を対象にした実験が、思うように実施できなかった。DS実験においては、密をさけるために、集団実験をさけ、個別実験のみを実施した。次年度において、集団実験を行うために、研究員の雇用、および実験関連費用の繰越を行う。
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