研究課題/領域番号 |
20K20342
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
儀我 美一 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (70144110)
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研究分担者 |
石毛 和弘 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (90272020)
行木 孝夫 北海道大学, 理学研究院, 教授 (40271712)
黒田 紘敏 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (80635657)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 全変動流方程式 / 拡散型偏微分方程式 / クラスタリング |
研究実績の概要 |
データ分離における分離線の構成問題は、画像処理における輪郭線を抽出する問題と共通の面がある。本研究では、カラー画像に対して用いられる全変動写像流方程式に対して、その空間離散版に対して、有効な数値スキームを確立した。具体的には、値域空間が球面の場合はいろいろ研究されているが、例えば回転群値の場合の有効な数値スキームはなかった。これに対して、多様体の指数写像を用いる方法を提案し、その時間空間離散スキームの収束性を証明した。このスキームは滑らかでないが凸の変分問題を解くので計算がしやすく、実際に計算をブレグマンスキームで行った。また輪郭線からノイズを取る曲率流方程式について、外力付クリスタライン平均曲率流方程式の等高面法を確立した。熱方程式によるデータ分離を筋委縮症の薬の製造に生命科学者とともに応用した。 第一のテーマと関係するが、画像分離やデータ分離問題への応用が期待される小林・ワレン・カーターエネルギーは、全変動エネルギーに重みをつけて、その重みの部分を単底型モディカ・モルトラエネルギーに加えたものである。これについて、一次元問題ではあるがその特異極限を求めることに成功している。これはいわゆるガンマ収束の言葉で記述されるが、その時の位相の取り方が肝心であることを見出した。この問題はいわゆる画像分離に用いられるいわゆるマンフォード・シャハエネルギーを近似する問題に似ているが、分離線に濃淡がでるところが異なる。データ分離への応用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は当初の計画以上に進展していたが、コロナ禍でさまざまな企画が規模の縮小を余儀なくされた。オンライン研究集会等を活用してなんとか一定の成果をあげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の一つの主目標であった小林-ワレン-カーターもでるについて、その特異極限の特徴づけを行う。また、その極限ダイナミクスについて、その解の挙動の解析を行う。一方、熱方程式の解析については、データ分離線の数学的特徴づけについて調べていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたポスドク研究院が他機関に転職したため、雇用費が予定より少ない金額となった。また、コロナ禍で対面型研究会を開催できず、また参加もできなかったため、この項目も当初より少ない支出となった。次年度以降、コロナ禍が収まった時点で、研究会主催、研究会出席、共同研究を積極的に行いたい。
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