研究課題/領域番号 |
18H05328
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
高井 研 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 深海・地殻内生物圏研究分野, 分野長 (80359166)
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研究分担者 |
山本 正浩 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 深海・地殻内生物圏研究分野, 研究員 (60435849)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 電気合成 / 独立栄養微生物 / 化学合成 / 光合成 / 物質循環 |
研究実績の概要 |
2018年度には沖縄トラフ伊平屋北熱水域での現場電気培養集積試料を植種源として、通常の微生物燃料電池実験と同様のスケールでの電気合成微生物培養実験を行った。その結果かなり良い増殖能を示す偏性電気合成微生物(Thiomicrospira sp.)の培養に成功した。しかしながら、共存する従属栄養性の微生物を除去することはできず分離には至っていない。また、同じく沖縄トラフ伊平屋北熱水域での発電中の硫化鉱物試料を用いた通常の微生物燃料電池実験スケールの培養実験において、通性電気合成微生物の培養および分離に成功した。一方、光ピンセット光学顕微鏡を利用した電気化学ライブイメージング装置を用いて電気合成微生物の代謝と増殖をリアルタイム直接観察で検証する実験系の構築を目指したが、モデル通性電気合成微生物を用いたパイロット実験で蛍光試薬の発色に関わる技術的問題が生じたため、かなり研究の進展が遅れた。しかし最終的に、その技術的問題点を克服し、電気化学ライブイメージング技術を確立することができた。さらに、偏性電気合成微生物(Thiomicrospira sp.)のゲノム・トランスクリプトーム解析を行い、電気合成代謝・生理機能に関わる特殊な分子機構の特定に成功した。当初、複数種の偏性電気合成微生物の分離を最高到達目標、通性電気合成微生物の増殖証明を最低限の到達目標としていたが、通性電気合成微生物の分離に成功し、ライブイメージング技術を確立したことは、十分に目標を達成する進展が得られたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2018年度当初、複数種の偏性電気合成微生物の分離を最高到達目標、通性電気合成微生物の増殖証明を最低限の到達目標としていたが、通性電気合成微生物の分離に成功したこと、ライブイメージング技術を確立したこと、ならびに偏性電気合成微生物(Thiomicrospira sp.)のゲノム・トランスクリプトーム解析によって電気合成代謝・生理機能に関わる特殊な分子機構の特定に成功したことは、最高到達目標に至らなかったが、最低限の目標をクリアしただけでなく、予想以上に電気合成代謝・生理機能に関わる分子機構の特定を進めることができた。よって計画以上の進展があったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、電気合成微生物培養・分離を進める。分離された電気合成微生物については電気合成微生物の分類・増殖生理を明らかにするとともに、スケールアップした電気培養を用いたマルチオミクス解析による代謝・生理機能の特定を行う。さらに、特定された分子機構に対する遺伝子・分子マーカーの作成とその有効性の検証を行う。2018年度では、通性電気合成微生物の分離とその電気合成代謝に関わる遺伝子群の特定が達成できたために、2019年度には偏性電気合成微生物の分離とその電気合成代謝に関わる遺伝子群の特定を計画する。さらに電気合成代謝に関わる遺伝子・分子マーカーの作成、を最高到達目標として研究を推進する。
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