本研究の目的は、モータに作用するラジアル方向電磁力のベクトルを制御することにより、モータの振動騒音の低減を図り、この分野において世界に先駆けて挑戦的な学術研究を推進することである。申請者らが世界に先駆けて発見した、電磁力のベクトルを制御して騒音振動を低減する方法の適用可能性に挑戦している。 東京工業大学においては、ハイブリッド自動車クラスの出力を持つスイッチドリラクタンスモータの力の和をフラットにする新しい考えを、低速だけでなく中間速度でも実現する方法を新しく考案し、実際に実験を行うことで確認することができた。中間速度にラジアル力の和をフラットにする考えを適用した例はなく、世界で初めてである。この成果をモータ関係では最も難関とされるIEEE Transactions on Industry Applicationsに投稿した。 静岡大学では、SRモータの電磁界解析を行い、電磁力の和が一定であることと、空間の0次成分が時間的に脈動しないことが等価であることを、世界に先駆けて発見した。研究代表者は、電磁力の和を一定にするとモータの騒音振動が大きく消えていくことを世界に先駆けて実証した。しかし、なぜ効果的であるのかは明らかになっていなかった。今回、朝間准教授は世界に先駆けてなぜモータの騒音が低減するのかを理論的に明らかにした。 この静岡大学の知見により、ハイブリッド自動車に搭載されているトラクション用の永久磁石モータをとりあげ、電磁力の和を平滑にする電流波形を求め、騒音が大きく低減することを明らかにした。 さらに、ラジアル力の和をフラットにする考え方が適用できる場合とできない場合があることを明らかにするため、自動車のように壁に取り付ける場合と、モータの下に足をつけて固定する場合での比較も行った。この結果、自動車のように壁に取り付ける場合に大きな効果が発生することが明らかにできた。
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