研究課題/領域番号 |
18H05334
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
山田 正 中央大学, 理工学部, 教授 (80111665)
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研究分担者 |
安田 浩保 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 准教授 (00399354)
山田 朋人 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (10554959)
森島 邦博 名古屋大学, 高等研究院(未来材料・システム), 特任助教 (30377915)
平川 大貴 中央大学, 理工学部, 教授 (40372990)
前田 健一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50271648)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | ミュー粒子 / 土木構造物の可視化 / 防災対策技術の開発 / 探査技術の開発 / 検出器の改良 |
研究実績の概要 |
近年の極端降水現象により甚大な河川災害が繰り返されている。河川災害は、越流破堤と浸透破堤が二大要因であり、この現象を解明するためには、河川堤防の幾何形状と内部状態を空間的に連続して把握することが求められるが、既存の計測技術では不可能である。これに対し、近年注目されている宇宙線ミュー粒子を活用した探査技術を導入し、半導体技術を用いることで継続時間の大幅な短縮と形状の自由度を達成できる新たな可視化技術の確立を目的としている。 今年度は本研究において研究課題として設定した①~④のうち、①~③について、予定通り取り組んだ。 研究課題①ミュー粒子による検出器の計測対象の検討:計測対象を検討するために、水文学と地盤工学の土木工学の研究者と宇宙線を専門とする物理学者で定期的に会合を持ち、ミュー粒子検出器により初めて実像の把握が見込める土木構造物にどのようなものがあるのか議論した。その結果,まずは試験体としての土槽を製作し、その形状や浸水条件等を変更させながら試験計測を行うことになった。さらに、近年より簡易、且つ小型の装置で定期的な調査の必要性が期待されている道路や橋脚等の内部の劣化状況についても試験探査を実施する可能性について検討を始めた。 研究課題②既存の同時計測型の検出器による試験計測:申請者らが独自に構築した同時計数型のミュー粒子検出器を用いて、河川堤防の内部状態の計測を行った。今回は樋菅内部から堤防の内部構造を捕捉するための観測を2か月間連続して実施し、その結果、約8時間程度の観測で堤防形状を捕捉できることがわかった。 研究課題③光半導体型のミュー粒子検出器の設計と試作:過年度試作した小型検出器の基本性能の調整を行うため、建築の内部からのミュオン捕捉数を調査した。さらに、より計測性能を高めるため、試作器の出力数を増やす等の改良を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定していた「研究課題①」については、議論の結果をもって実際の検出に取り組むことができた。これをもってほぼ達成されたと言えるが、実際の計測事例を増やし、当該技術の適応性を判断していきたいと考えている。「研究課題②」については、予定通り実河川堤防での観測を終えることができたことから目標を達成したと言える。今後この観測結果を分析し、可視化するための要件等を整理していく必要がある。「研究課題③」については、検出器の改良まで完了した。以上の成果をもって、この評価としている。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題①ミュー粒子による検出器の計測対象の検討:今年度の試験計測結果をもって河川堤防への適応性について評価する。また、道路や橋脚等構造物への適用性についても検討していく。 研究課題②既存の同時計数型の検出器による試験計測:試験計測については完了したことから、この観測結果をもって研究①において、必要な分解能等、可視化するに当たっての計測要件等の精査を進めていく。 研究課題③光半導体型のミュー粒子検出器の設計と試作:過年度改良した小型検出器をもって、最終的な精度検証を実施する。 研究課題④土木構造物の内部構造可視化技術の確立:最終年度として、提案する計測方法が開拓する新しい学術と自然災害への対応の新展開をまとめる。
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