研究課題/領域番号 |
18H05341
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
中平 敦 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90172387)
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研究分担者 |
吉田 要 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 上級研究員 (00397522)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | セラミックス / 無焼成 / 水熱 / ソルボサーマル / ポーラス材料 |
研究実績の概要 |
セラミックスを対象に、水溶液溶媒を僅かに添加し中低温域(100℃~300℃)での改良型水熱プロセス処理によって、セラミックスを高温焼成することなくバルク化(緻密化)するプロセスの開発を行うことを目的とし、いろいろなゼオライトなどのナノポーラス材料を用いて、新規に改良した水熱プロセス処理において溶解および再析出メカニズムを精緻に制御し、本来緻密化が困難な材料において緻密化に向けた界面等の最適化を実現する研究を進めた。MOR型のゼオライトにおいて、改良水熱プロセスによる得られた緻密ゼオライトを合成する条件を明らかにできた。またそれらの微細構造をSEMおよびTEMにより解析を進めた。 その結果、最適な水熱条件下で得られた緻密ゼオライトにおいて構成粒子のゼオライト間の界面には非晶質層が少ない構造を持つことをHRTEM観察により明らかにした。本研究を通じて改良を加えた高機能改良水熱プロセスにより、緻密化が困難なゼオライト緻密材料の合成プロセスを明らかにし確立し、高温焼成することなく、水(水溶液溶媒)を用いた水熱プロセスにて緻密化を達成可能な環境低負荷な合成プロセスの開発に向けた成果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セラミックスを高温焼成することなく水(水溶液溶媒)を用いた水熱プロセスにて緻密化を達成可能な環境低負荷な合成プロセスの開発に向けた研究を順次進めており、概ね当初の提案書の予定通りに進捗している状況である。初年度および二年度で各種のナノポーラス材料を用いて、新規改良型水熱プロセス処理において溶解・再析出メカニズムを制御することで、合成条件(温度、雰囲気、溶媒、圧力、保持時間など)の最適化を図ることができ、緻密バルク化に向けたプロセス設計の基本的パラメータを明らかにできた。また、得られた緻密なポーラス体の微細構造の詳細な解析を行い、さらに、吸着特性や熱的性質、機械的特性などの評価を行った。次年度以降はそれらの結果をベースとして、本目的達成に合致するような種々の酸化物セラミックス(TiO2、ZnO、Al2O3、アパタイト、粘土等)のナノ粉末をゾルゲル法や通常の水熱条件での水溶液プロセスにて合成し、それを原料として緻密化を進める。
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今後の研究の推進方策 |
二年間の基礎的な研究により、各種のナノポーラス材料を用いて、新規改良型水熱プロセス処理において溶解・再析出メカニズムを制御することで緻密化困難なナノポーラス体の緻密化のための改良型水熱プロセスを開発に成功し、緻密化のための合成パラメータを明らかにできた。次年度以降はそれらの結果をベースとして、本目的達成に合致するような種々の機能性酸化物セラミックス(TiO2、ZnO、Al2O3、アパタイト、粘土などの層状化合物)さらに最近多孔性機能性材料として注目のMOFなどのセラミックスおよび有機無機ハイブリッド材料をゾルゲル法や通常の水熱条件でのソフトケミカル水溶液プロセスにて合成し、それ等の機能性セラミックス材料などを原料として緻密化を進める。これにより、特に100~300℃の温度域における改良水熱プロセスにて処理し、緻密化挙動を制御しながらバルク化や膜化をターゲットとして進めるための基礎的研究を滞りなく進めているので、来年度以降、本研究目的であるセラミックスを高温焼成することなくバルク化(緻密化)するための低温プロセス化の確立を一層進める予定である。
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